④2008年(勝ち馬ブルーメンブラット)
デアリングハートが連覇を達成した翌年。この年の主役は、引退直前に輝きを放ったブルーメンブラットであった。
クラブが所有する牝馬には、引退規定というものがある。社台系のクラブであれば、牝馬は遅くとも6歳の3月で現役を引退。そのまま繁殖牝馬となるのが基本のパターンである。
ブルーメンブラットは社台系のキャロットファーム所有のため、6歳の3月には現役引退が決まっていた。そんなリミットまで半年と迫った5歳の秋、重賞初制覇をかけて、府中牝馬ステークスに挑戦するのであった。
この年の1番人気は、ブルーメンブラットと同世代の2冠馬、カワカミプリンセス。無敗で秋華賞を制した後は勝利こそなかったものの、前走の金鯱賞では牡馬相手に3着と力を示していた。2番人気も、同じく同世代のキストゥヘヴン。こちらは桜花賞勝ち馬で、前走の京成杯オータムハンデを勝っての参戦であった。3番人気に、1学年下のオークス2着馬ベッラレイアが続き、ブルーメンブラットは4番人気であった。
レースはカワカミプリンセスが前をうかがうが、その外からアサヒライジングがハナを切る展開で、前半1000mの通過は前年とほぼ同じ59秒2。カワカミプリンセスは2番手に収まり、キストゥヘヴンは好位の外。ベッラレイアは後方寄りの中団からの競馬で、スタートで出負けしたブルーメンブラットは、ベッラレイアと同じような位置取りとなった。
その隊列のまま4角を回り、最後の直線へ。残り400mでカワカミプリンセスが先頭に立つも、後続は横に広がっての大激戦となった。カワカミプリンセスの押し切りかと思われたところ、馬群を割って伸びてきたのがブルーメンブラット。残り100m辺りで2番手に浮上すると、1完歩ずつ前との差を詰め、残り50mで差し切って勝利した。2着にカワカミプリンセスが入り、外を伸びたベッラレイアがゴール前で3着に浮上した。
待望の重賞初制覇を飾ったブルーメンブラットは、勢いそのままに、続く牡馬相手のマイルチャンピオンシップでG1初制覇。その勝利を置き土産に、現役を引退した。
そしてそれから15年が経った2023年。10番仔となるシュトラウスが、東京スポーツ杯2歳ステークスを制覇。府中牝馬ステークスと同じ東京芝1800mのレースというのも、血統のドラマと言えるだろう。