
競馬ファンであれば、誰もが一度は息をのんだことがあるだろう。全力疾走するサラブレッドの背中から、騎手が宙を舞う落馬。一瞬のアクシデントが命を奪い、あるいは騎手としての未来を断ち切ってきた歴史が、競馬には存在する。今回は、落馬事故から復活を遂げた騎手にスポットを当て、象徴的な5つの勝利を振り返る。[5/5ページ]
⑤吉田隼人
最後に紹介するのは、吉田隼人騎手。兄の吉田豊騎手を追うように競馬学校を受験すると、川田騎手、丹内騎手、津村騎手、藤岡佑介騎手などとともに20期生としてデビュー。
デビュー年こそ3勝に終わったが、翌年には23勝、さらに翌年には60勝と勝ち星を伸ばしていった。
その後も毎年コンスタントに勝利を挙げていくと、デビューから11年が経った2015年にゴールドアクターに騎乗した有馬記念でG1初制覇。その後は美浦所属の騎手でありながら栗東に拠点を置いて活動するようになり、徐々に関西圏での騎乗が増えるようになっていく。
その影響からか、ゴールドアクター以降にG1を勝利したソダシやポタジェはともに、関西馬である。ソダシが現役生活を送っていた2020〜2022年は年間100勝に手が届きそうなところまで勝ち星を伸ばし、全国リーディングも10位以内をキープするようになっていた。
そんな中、ライトクオンタムに騎乗した2024年の福島牝馬ステークスで、前の馬の転倒に巻き込まれる形で落馬。外傷性くも膜下出血と診断され、後遺症が残る可能性があると報道された。
それでも吉田隼人騎手は療養と懸命なリハビリによって、落馬から約半年でレースへの復帰を果たすと、復帰から2ヶ月が経ったカペラステークスでガビーズシスターに騎乗。1番人気に応えて見事勝利を収め、落馬後初の重賞制覇を果たした。
まだ思うように勝ち星を戻すことはできていないが、またG1の大舞台で輝く姿が見たい騎手のひとりである。
怪我の大小はあれど、今回紹介した5人以外にも、落馬を経験したことのない騎手はほとんどいないだろう。
あれだけのスピードで多くの馬が一緒に走っている以上、落馬というものがなくなることはない。ただなるべくであれば、落馬を含めた事故がなくレースが行われることを祈りつつ、今週の競馬も楽しんでいきたい。
【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
1993(平成5)年6月18日、神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。
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