
競馬ファンであれば、誰もが一度は息をのんだことがあるだろう。全力疾走するサラブレッドの背中から、騎手が宙を舞う落馬。一瞬のアクシデントが命を奪い、あるいは騎手としての未来を断ち切ってきた歴史が、競馬には存在する。今回は、落馬事故から復活を遂げた騎手にスポットを当て、象徴的な5つの勝利を振り返る。[2/5ページ]
②福永祐一
続いて紹介するのは、現調教師の福永祐一元騎手。父は天才ジョッキーと称されながら、騎手として絶頂期の30歳で落馬事故によって騎手生命を絶たれた洋一氏。
その父の背中を見ながら、自身も騎手という世界に飛び込んだ福永騎手もまた、落馬によって大怪我をしたのであった。
落馬事故が起きたのは、1999年。前の週に行われた桜花賞でプリモディーネに騎乗してG1初制覇を果たしたばかり、当時23歳だった福永騎手は、小倉大賞典でマルカコマチに騎乗。
自厩舎の馬だったこともあり、デビューから14戦全てで手綱を執ってきた思い入れの強い馬であったが、本馬場入場の際に落馬し、左の腎臓を摘出するほどの大怪我を負ってしまう。
長期離脱が予想されたが、驚異的な回復力を見せ、落馬から3ヶ月後の7月には実戦へと復帰。そして迎えた、12月の朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)。
のちに福永騎手とのコンビで香港G1を3勝するエイシンプレストンに騎乗すると、先に抜け出した1番人気のレジェンドハンターを懸命に追いかけ、ゴール前で内から交わして勝利。ゴール後に大きなガッツポーズをしていたのが、印象的であった。
落馬からの復帰後初の重賞勝利をG1の大舞台でやってのけた福永騎手は、その後もピクシーナイトに騎乗した香港スプリントなど、何度も危険な落馬を繰り返したが、その都度カムバック。
調教師への転身が決まったことで、父の洋一氏もホッと胸をなで下ろしたに違いない。


