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2024年中山グランドジャンプを制した時のイロゴトシ
2024年中山グランドジャンプを制した時のイロゴトシ

コントレイル、デアリングタクト、ソダシといったスーパースターが活躍した2020年の競馬界。スター揃いの当時の中央競馬でも、「九州産の星」としてひときわ異質な注目を集めた馬がヨカヨカであった。
同世代には同じく九州産馬のルクシオン、一つ上の世代には2023年の中山グランドJを制するイロゴトシなど、多くの「九州産馬」が活躍し今現在も注目を集め続けている。
では、ヨカヨカ、イロゴトシら「九州産馬」はなぜここまで注目されたのか?本記事では、「九州産馬」を取り巻く特殊な事情を紹介する。[3/3ページ]

九州産馬が抱える問題

 ヨカヨカというニュースターの誕生に加え、イロゴトシによる九州産馬史上初のGⅠ級競走の制覇。九州産馬が取引される九州1歳市場は、年々落札額が高額になっていき、九州の馬産の未来は安泰かのように見える。

 しかしながら、問題も多く存在する。その最たるものが「九州産馬限定戦の異常な早期化」だ。2024年に暑熱対策等を理由に、夏の小倉開催と中京開催が入れ替わることとなった。

 このため、例年8月末に開催されていたひまわり賞は7月の中旬に移動。九州産馬限定新馬戦・未勝利戦から中2週、中1週で挑まざるを得ない番組構成となっている。中には、夏の小倉競馬開幕からひまわり賞までの約3週間の間に3走せざるを得ない馬も出てきている。

 2歳夏という成長途上の時期に、こうしたローテーションを組まざるを得ない番組構成は、(馬運車や暑熱開催等の事情があるとはいえ)JRAが九州の馬産を軽視していると批判が起こっても仕方がないことだろう。

 九州でのサラブレッド生産量はおおよそ日本全体の生産量の1%と言われている。

 しかしながら、荒尾競馬、都城競馬をはじめ、20世紀には数多くの競馬場が存在していた九州は、日本の馬事文化のゆりかごと言っても差し支えない地域であった。

 九州出身の調教師には、音無秀孝元調教師、橋口弘次郎元調教師、池江泰郎元調教師など錚々たる面子が名を連ね、現役騎手でも川田将雅、幸英明ら多くの競馬関係者が九州出身として知られている。

 彼らの中には、家族が九州でサラブレッド生産や育成に携わっていたルーツを持つ人物も少なくない。九州産馬の出走の際にも、騎手選択・預託先などでそうしたバックグラウンドが垣間見える瞬間がある。

 一歩踏み込んでみると「奥が深すぎる」九州産馬、九州の馬産の世界。一度覗いてみてはいかがだろうか。なお、2026年のたんぽぽ賞は2月25日に佐賀競馬場で実施予定だ。

【了】
【著者プロフィール:有村限】
2001年生まれ。オルフェーヴルをきっかけに国内外の競馬を見始める。
2022年よりフリーライターとして活動し、日本のみならず、世界中の生産牧場・競馬場に実際に赴いた経験から、海外競馬や血統に関するコラムを執筆している。

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