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2023年マイルCSを制した時のナミュールと藤岡康太騎手
2023年マイルCSを制した時のナミュールと藤岡康太騎手

人馬の呼吸が重要とされる競馬において、乗り替わりは必ずしもプラスとは限らない。とりわけ、これまで一度も騎乗経験のない騎手が初めて手綱を取る、いわゆる「テン乗り」の場合、マイナス要因となることも多い。
だが、その条件でG1制覇を成し遂げた騎手と馬も存在する。今回は、テン乗りでG1を制したコンビを5つ紹介する。[5/5ページ]

⑤藤岡康太&ナミュール

■2023年マイルチャンピオンシップ

 クラシックの有力候補と目されながらも無冠に終わり、その後も善戦は続くもののなかなか勝ち切れていなかったナミュール。

 だが、4歳の秋にジョアン・モレイラ騎手が騎乗した富士ステークスで見事な復活劇を遂げたことで、初のG1制覇への機運は高まった。

 続くマイルチャンピオンシップでは、モレイラ騎手がソウルラッシュの先約で騎乗できなかったものの、代わって名手ライアン・ムーア騎手を確保。万全を期してG1タイトルの獲得へ乗り出していた。

 しかし、レース当日の午前、ムーア騎手が落馬負傷。その代打として指名されたのが藤岡康太騎手だった。

 これにより、人気こそ変わらなかったものの、単勝オッズは1ケタ台から下落。発走直前には17.3倍まで上昇した。世界的名手からの急な乗り替わりに、不安を抱いたファンも少なくなかった。

 レースでは、スタートが切られると後方に控えたナミュールは、どっしり構えて後方3番手からレースを進める。4コーナーでもまだ後方から2番手という位置だったが、前半をハイラップで進めた先行勢が脱落するという、末脚に絶対の自信を持つナミュールには理想的な展開となっていた。

 その期待通り、外に持ち出されたナミュールは脚をグングン伸ばす。ぽっかり空いたウイニングロードの道筋をなぞるかのように一直線に駆け抜けると、内から抜け出したソウルラッシュとそれを追うジャスティンカフェを一瞬のうちに捉えて先頭でゴール。

 8度目のG1挑戦が実った瞬間だった。この勝利は結果的に、人馬ともに最後のG1制覇となった。

 だが、たった一度のチャンスを掴んで見事にモノにした藤岡康太騎手の手腕により覚醒したナミュールは、翌年のドバイターフではファクトゥールシュヴァルにアタマ差の2着に迫る好走を見せるなど、もう一皮むけた姿を披露した。

 そして鞍上も、この勝利をきっかけに勢いに乗った。人馬ともに大きな成長を遂げたこのレースは、まさに「会心の一撃」だった。

【了】
【著者プロフィール:小早川涼風】
祖父、父の影響で幼い頃から競馬に触れ、社会人後ライターに。地方、中央を問わない競馬漬けの日々を送る。初めて好きになった馬はサイレンススズカ。思い出の馬はファストフォース。

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