
三冠馬というのは、日本競馬の歴史上これまで牡馬8頭、牝馬7頭という限られた馬たちに与えられた称号である。しかしそんな名馬であっても、三冠レース全てで圧勝を飾っているとも限らない。そこで今回は、三冠達成の過程で肝を冷やした三冠レースをプレイバック。偉業達成に黄信号が灯ったレースを5つ選び、順に紹介していく。[2/5ページ]
②アパパネ
■2010年オークス
「三冠馬を苦しめた」というテーマだと、善戦して敗れた馬をイメージするが、アパパネをオークスで苦しめたサンテミリオンはオークス馬。オークスを勝っているのだから、ほかの4例とはわけが違う。
桜花賞馬のアパパネに対して、サンテミリオンは桜花賞は未出走。オークストライアルのフローラSを勝利して、オークスに駒を進めていた。
1番人気のアパパネに対して、サンテミリオンは5番人気。くしくも鞍上は、ディープインパクトを苦しめたアドマイヤジャパンと同じ、横山典弘騎手であった。
レースは、ニーマルオトメがハナを切り、アグネスワルツが単独の2番手。この2頭が後続を引き離す展開となる。サンテミリオンは中団からの競馬となり、それを見るような形でアパパネも進めていた。
前半1000mの通過は60秒6と、雨の降る稍重馬場を考えるとほぼ平均といったペース。しかし、ここから4F連続で13秒台のラップに落として息を入れる。後ろを引きつけたことで3番手以降は一団となって4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、2番手からアグネスワルツが先頭へと立つ。後続各馬は横に広がって追い上げてきて、中でも伸び脚目立ったのが、外を伸びたピンク帽の2頭。
残り200mでアグネスワルツを交わしてからは、8枠2頭の火の出るような追い比べとなる。勢いは後ろからきたアパパネだったが、サンテミリオンも食い下がる。
今度は差し返すようにサンテミリオンが伸びて再び前に出たようにも見えたが、ゴール前でアパパネも意地を見せ、2頭が全く並んで入線。12分もの写真判定ののち、JRAのG1では史上初となる1着同着となった。
その後アパパネは、史上3頭目となる牝馬三冠を達成。一方サンテミリオンは、オークス後13戦連続で馬券圏外となり、勝利はおろか、3着以内もないまま現役を引退した。
オークス後に大きな差が出てしまったが、あの瞬間は確実に、2頭のハナ面は全く並んだままゴール板を駆け抜けていた。


