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【三冠馬が苦しめられた名レース5選】あわや敗北…三冠達成に黄信号が灯った瞬間

text by 中西友馬
2005年菊花賞を制したディープインパクト
2005年菊花賞を制したディープインパクト

三冠馬というのは、日本競馬の歴史上これまで牡馬8頭、牝馬7頭という限られた馬たちに与えられた称号である。しかしそんな名馬であっても、三冠レース全てで圧勝を飾っているとも限らない。そこで今回は、三冠達成の過程で肝を冷やした三冠レースをプレイバック。偉業達成に黄信号が灯ったレースを5つ選び、順に紹介していく。[1/5ページ]

①ディープインパクト

■2005年菊花賞

 2005年にクラシック三冠を獲得したディープインパクト。正直、着差だけを見ると危機らしい危機もなかったように思える。

 ただ、皐月賞のスタートはかなりつんのめっており、落馬していれば三冠馬への挑戦はそこで終わっていたことになる。

 そして今回取り上げるのは、三冠最終戦の菊花賞。グレード制導入後の重賞では、史上最高となる単勝支持率79.03%を記録したこの菊花賞も、直線入り口では若干危機を感じる一戦であった。

 レースは、シャドウゲイトがハナを切り、アドマイヤジャパンがそれを追いかける形。その後ろは大きく離れ、ディープインパクトは中団からの競馬。

 このレースを1000mごとに3分割すると、61秒2-63秒4-60秒0となり、中盤1000mの中だるみした部分でも後続との差は詰まらず、明らかに先行勢有利の流れ。

 ディープインパクトも外へと出して少しポジションを上げたが、まだ仕掛けを待ったままで4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると同時に、2番手にいたアドマイヤジャパンの横山典弘騎手が仕掛ける。ディープインパクトを待つのではなく、先に追い出してセーフティーリードを築く作戦を選択し、シャドウゲイトを交わして早々と先頭に躍り出る。

 残り300m地点ではディープインパクトとの差を5馬身ほどキープ。残り200m地点でも3馬身ほどの差があるように見えた。

 残り100m地点では内外離れてほとんど並び、ゴールでは逆に2馬身の差をつけられていた。

 弥生賞のクビ差といい、クラシック戦線でディープインパクトを最も苦しめた存在であったことは間違いないアドマイヤジャパン。

 そんな単純な話ではないだろうが、ディープインパクトさえいなければ、4馬身差の完勝で菊花賞に輝いていたこととなる。

 しかし、そんな完璧な競馬をしたアドマイヤジャパンに、2馬身差をつけて勝利したディープインパクトの強さを、改めて目の当たりにしたレースでもあった。

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