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Harp Star
Getty Images 2012年凱旋門賞に出走した時のハープスター

⑤ハープスター(2014年6着)

 オルフェーヴルが2年連続で2着となった翌年の2014年。この年はタイプの違う3頭が凱旋門賞制覇に挑戦した。

 まず1頭目はジャスタウェイ。前年の天皇賞(秋)で覚醒した感の強い同馬は、そこから中山記念、ドバイDF、安田記念と連勝した。特にドバイDFで後続を突き放した勝利は世界をも驚かせ、世界ランキング1位という称号を引き下げての挑戦であった。

 2頭目はゴールドシップ。スピードタイプのジャスタウェイと打って変わって、こちらは無尽蔵のスタミナが売り。破天荒で気分屋の面はあるが、この時点で既にG1を5勝。オルフェーヴル引退後の日本競馬を引っ張ってきた存在で、実績は過去に挑戦した馬に勝るとも劣らないものがあった。

 そして3頭目はハープスター。この馬は、日本調教馬としては初となる3歳牝馬による凱旋門賞挑戦を実現させた。ジャスタウェイと同じく、2400mという距離に不安はあったが、桜花賞で繰り出した切れ味抜群の末脚は歴代の名馬にも引けを取らないものがあった。さらに前出2頭と比較して、斤量面で5キロのアドバンテージがある点にも期待が持てた。

 現地での評価は、海外での実績があるジャスタウェイが3頭の中では一番高く、次いで3歳牝馬のハープスター、ゴールドシップの順。海外勢の注目馬は、3歳牝馬にして同年のキングジョージを制覇したタグルーダや、6戦6勝の仏オークス馬アヴニールセルタンなどがいた。

 レースは、ペースメーカーのモンビロンが引っ張る流れでスローにはならず。日本勢はいずれも後方からの競馬となり、ハープスターは後方2番手のインでじっくりと構えていた。
そのまま最後の直線を迎えると、横に大きく広がった追い比べ。ジャスタウェイは内を突き、スタミナを生かして一足先に動いたゴールドシップは馬群の外に出す。ハープスターはさらにその外を選択し、馬群の一番大外から末脚を伸ばす。

 しかし仮柵の取り外された内の良い馬場では後方勢にとっては前が遠く、好位のインでそつなく立ち回ったトレヴが抜け出して快勝した。前年の凱旋門賞以来勝利がなく人気を落としていたが、連覇を達成した。ハープスターが日本勢最先着の6着となり、ジャスタウェイは8着、ゴールドシップは14着に敗れた。

 しかし、日本でも二千までしか勝利経験のなかったハープスターにとって、欧州のタフな2400mでの6着は大健闘といえる。これまで日本勢は古馬の参戦が多かった凱旋門賞。ハープスターの勇気あるチャレンジは、これから先の日本調教馬の挑戦に、影響を与えるものになったことは間違いない。

 今回取り上げた5頭以外にも、日本のトップクラスの馬が幾度となく挑んで跳ね返されてきた欧州の壁。いつかこの高い壁を壊す馬が出てきて、凱旋門賞の歴史の1ページに日本調教馬の名が刻まれる日が来ることを願っている。

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