④オルフェーヴル(2012年2着)
ナカヤマフェスタの惜敗から2年が経った2012年。ディープインパクト以来2頭目となる、三冠馬による凱旋門賞挑戦が実現した。それがオルフェーヴルである。
オルフェーヴルは皐月賞、ダービー、菊花賞の三冠だけでなく、3歳にして有馬記念も制覇した。4歳時は気性面の問題で取りこぼすレースもあったが、宝塚記念で現役最強を示し、寮馬のアヴェンティーノを携え、課題の気性面に対しても万全の対策を取った上での渡仏であった。
前哨戦のフォワ賞を勝利して挑んだ本番。現地でも注目馬の1頭となっていたオルフェーヴルは、単勝2番人気であった。1番人気に推されていたのは、同年の英ダービーと愛ダービーを制していた3歳牡馬キャメロットとなった。
レースは、マスターストロークがハナを切り、キャメロットは中団からの競馬となる。オルフェーヴルは後方2〜3番手でじっくりと脚を溜める展開となった。
その隊列のまま最後の直線に向かうと、オルフェーヴルは馬群の大外に持ち出して前との差を詰めにかかる。持ったままで先頭集団に加わると、残り400mを切ったところで追い出され、残り300mで敢然と先頭に抜け出す。
あとは一直線に栄光のゴールに向かうだけだったが、気性面の脆さがよりにもよって、ここで顔を覗かせてしまった。前に馬がいなくなった瞬間に急激に内に切れ込み始め、内ラチに接触。減速したところを見逃さなかったのが、一度は交わしたはずの伏兵ソレミアであった。一完歩ごとにオルフェーヴルとの差を縮め、ゴール前でクビ差だけ捕えてみせた。日本調教馬初の快挙は目前に迫っていたが、またも欧州の高い壁に跳ね返される形となった。
オルフェーヴルはその後、翌年の凱旋門賞にも挑戦したが、3歳牝馬トレヴに5馬身差をつけられ、またも2着に敗れた。しかし、2012年のオルフェーヴルの走りは、確実に今までで一番頂に近づいた瞬間であった。