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Deep Impact
第85回凱旋門賞に出走したときのディープインパクト

ディープインパクト(2006年失格)

 勝利まであと一歩に近づいたエルコンドルパサーの挑戦から7年が経った2006年。英雄とも称される、日本競馬界の至宝が凱旋門賞に挑戦した。その名はディープインパクト。競馬を知らない人でも一度は聞いたことのあるであろう、稀代の名馬である。

 ディープインパクトの実績は今さら話す必要もないかもしれないが、3歳時には無敗で三冠を達成。有馬記念ではハーツクライの奇襲とも言える先行策を捕えきれなかったが、4歳になってからも天皇賞(春)と宝塚記念を連勝した。11戦10勝という、ほぼパーフェクトな成績を残し、満を持して凱旋門賞に挑んだ。

 この年の凱旋門賞は、8頭立てというかなりの少頭数で行われた。これは当時世界ランキング1位であったディープインパクトに加えて、前年の凱旋門賞覇者ハリケーンラン、前年のBCターフ覇者シロッコが出走することで、勝ち目がないと他陣営が回避したものともいわれている。その中でも特に高い評価を受けていたディープインパクトが、現地でも1番人気に支持されていた。

 レースは、アイリッシュウェルズがハナを切り、シロッコが2番手を追走。ディープインパクトはその2頭を前に見る3番手の外につけ、その内に入る形でハリケーンランも前めにつける。人気3頭はいずれもお互いを意識しながら、好位から競馬を進める隊形となった。

 そのまま最後の直線に差しかかると、早々と手が動くハリケーンランに対して、ディープインパクトの手ごたえは抜群で、残り400mで前の2頭を交わし、先頭に立った。ライバルと見られていたハリケーンランとシロッコに伸びはなく、悲願達成間近と思われた。しかし残り200m、外から伏兵の3歳牡馬レイルリンクが並びかける。連れて6歳牝馬プライドも伸びてきて、三つ巴の争いとなった。残り100mを切ってディープインパクトをねじ伏せたレイルリンクが、プライドの追い上げをクビ差しのいで勝利した。ディープインパクトはプライドから半馬身ほど遅れた3着入線となった。

 しかしレース後に行われる検査により、フランス競馬では禁止されているイプラトロピウムが検出されたことによって、残念ながら失格となった。
日本競馬史上最強とも言われたディープインパクトでも、凱旋門賞制覇の夢は成し遂げられなかった。この結果に、日本のファンは改めて凱旋門賞制覇の難しさを思い知らされた。

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