
気性難は競走馬にとって大きな課題のひとつである。一般的には馬具の工夫など様々な方法で対応される。一方、牡馬の場合は去勢する選択肢もある。しかし、能力の高い馬は、種牡馬への道を考慮し、別の方法が取られることが多い。今回は牡馬・牝馬を問わず、気性難でありながら活躍した馬の中から、特に印象的な5頭を紹介する。[5/5ページ]
⑤メイケイエール(2021年桜花賞)
最後に紹介するのは、メイケイエール。これまで紹介した4頭と違い、この馬はG1馬ではない。しかしその気性の難しさから、出遅れから引っかかるという悪癖を繰り返し、名手の武豊騎手や横山典弘騎手を困らせるおてんばっぷり。
まさにわがままなお嬢様のような姿に心を掴まれる競馬ファンは数多く、高い人気を誇っていた。
そんなメイケイエールの悪癖が顕著に表れたのが、3歳時の桜花賞。前哨戦のチューリップ賞でも、破天荒なレースぶりながらエリザベスタワーとの同着で勝利を収めていたメイケイエールは、前年の阪神JFでワンツーを決め、ともに桜花賞へと直行したソダシとサトノレイナスに次ぐ3番人気。
2戦目から手綱を執り、この馬の主戦を務めていた武豊騎手が落馬負傷により騎乗できず、同じくベテランの横山典弘騎手に乗り替わっての一戦であった。
レースは、出遅れて後方からの競馬になるも、向正面では引っかかって前へと上がっていこうとする。横山典弘騎手もなんとか落ち着かせようと馬群の中へと導くが、そんなのお構いなしに突き進むメイケイエール。
観念した横山典弘騎手が馬を外へと持ち出すと、前が開けたメイケイエールは一気に先頭まで上がっていってしまう。こんなレースぶりで最後までスタミナが持つはずもなく、直線に入ると早々に失速。3番人気という高い支持を集めながらも、最下位の18着に敗れた。
メイケイエールはその後、秋のスプリンターズSからは池添騎手が主戦となり、G1タイトルにこそ届かなかったが、6つの重賞タイトルを獲得する活躍を見せた。やはり気性面の課題があって大敗することもあったが、勝つときは本当に強い勝ち方を見せる馬であった。
そんな性格に加え、整った容姿がファンの心をつかみ、写真集まで発売される人気っぷり。2022年に行われたアイドルホースオーディションでは、圧倒的な票を集めて1位に選ばれた。
ちなみに4位には、この桜花賞で17着であったヨカヨカが選ばれた。桜花賞で逆ワンツーを決めた両馬が、ともにアイドルホースぬいぐるみとなったのである。
今回紹介した5頭は、たしかに気性難ではあったが、もちろんレースでの実績も残していた馬たち。
もしこの馬たちの気性がおとなしかったら、もっと活躍していたかもしれないし、逆にここまでの活躍はできなかったかもしれない。
ただひとつ言えるのは、5頭ともにその難しい気性も含め、ファンに愛される名馬であったということである。
【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
1993(平成5)年6月18日、神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。
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