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A Shin Hikari
第66回毎日王冠を制したときのエイシンヒカリ

⑤2015年(勝ち馬エイシンヒカリ)

 これもまた1998年からの繋がりとなるが、武豊×逃げ馬という、サイレンススズカとの共通点を持つ馬が、17年の時を経て毎日王冠を勝利した。それがエイシンヒカリである。

 この馬が一躍脚光を浴びたのは、毎日王冠制覇から約1年前。2014年のOP特別、アイルランドトロフィーであった。デビューから無傷の4連勝でこのレースに挑んだエイシンヒカリは、レース序盤から後続を引き離す逃げを打ち、道中は約15馬身ほどの差をつけて1人旅。そのまま4角を回り、直線へ。

 しかし残り400m辺りから徐々に外へ斜行。斜めに走っているぶん距離ロスがあるのは明らかで、真っ直ぐ走っている後続が一気に差を詰める。最後は外ラチ近くまで膨らみながらも、3馬身半の差をつけて逃げ切ってみせた。この時は横山典騎手の騎乗であったが、ただの逃げ馬ではない破天荒ぶりが話題となった。

 それから約1年。4歳になったエイシンヒカリは、直前のエプソムカップで重賞タイトルを手に入れ、毎日王冠に出走。4歳シーズンから主戦を務める武豊騎手が手綱を執り、割れたオッズながら1番人気に支持されていた。

 レースは大外枠からでもダッシュのついたエイシンヒカリがハナを切るも、アイルランドトロフィーのようにハイラップの大逃げとはならず、後続を引きつける逃げ。ハイラップどころかまんまとスローペースに落とすと、直線でも脚いろはまったく衰えず。直線伸びてきた2着馬のディサイファや3着馬のイスラボニータに並ばせることなく、そのまま逃げ切ってみせた。

 重賞2勝目を飾ったエイシンヒカリはその後、年末の香港カップでG1初制覇。翌年はフランスのイスパーン賞も勝利し、日本のG1は未勝利ながら、海外G1を2勝した。

 特にイスパーン賞は、2番手で我慢して抜け出す競馬で10馬身差の圧勝。3歳時の破天荒なレースぶりからは想像のつかない優等生な競馬で、成長した姿を見せた。

 日本のG1には存在しない、芝1800mという舞台設定で行われている毎日王冠。これからも、G1に向けてのステップレースというだけではない、熱い戦いに期待したい。

(文●中西友馬)

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