
近年の物価高騰の波は競馬界にも押し寄せてきており、セレクトセールでは5億円オーバーの馬もチラホラ。ひと昔前では高額馬であった1億円オーバーの馬は、セレクトセールでは今や珍しくはない。
今回は、セリで比較的低価格ながらも活躍した馬に注目。1000万円前後で購買されながらも、GⅠ制覇を果たした5頭を紹介する。[5/5ページ]
※以下の購買価格は、税抜き価格で表記する。
⑤モーリス
購買価格:1000万円
獲得賞金:10億8368万5700円
最後に紹介するのは、モーリス。この馬に関しては、1歳時にセリに上場された時には150万円で落札された馬。これまで紹介してきた馬たちと比較しても破格の安さであるが、その後翌年のセリに再び上場され、最終的に1000万円でノーザンファームに落札された。そのため、吉田和美オーナー所有の日高生産馬ということになる。
そんなモーリスは、2歳時に2勝を挙げてオープン入りするも、3歳春は重賞で結果を出すことができず、背腰に痛みが出たことで長期休養。この休養期間に、心機一転、美浦の堀宣行厩舎へと転厩することとなった。
7ヶ月の休養を経て万全の態勢となったモーリスは、4歳シーズンを迎えて快進撃。条件戦から3連勝でダービー卿CTを勝利し、重賞初制覇。
さらには、G1初制覇となった安田記念を皮切りに、マイルCS、香港マイルと国内外のG1で3連勝を飾った。
1月には1000万下(現2勝クラス)だった馬が、破竹の6連勝で同年の12月には海外G1を制覇。牡馬ではあるが、「シンデレラストーリー」という表現がしっくりくるほどの勢いでマイル界の頂点まで駆け上がり、さらには短距離馬として史上3頭目となる、年度代表馬にも輝いた。
翌年もモーリスの勢いは止まらず、香港のチャンピオンズマイルでG1・4勝目を挙げると、秋には中距離路線へと距離を延長。2000mの天皇賞(秋)と香港カップを制し、最終的にG1・6勝を挙げた。
4歳以降は【9-2-0-0】というパーフェクトに近い戦績を残し、特に香港では3戦3勝と無類の強さを残したモーリス。成長期と堀厩舎への転厩のタイミングが上手く重なったことで、大きく化けた名馬であった。
このように、主に血統によって価格が決まるセリにおいて、地味な血統やまだ評価が定まっていない血統の馬は、安く購買されることがある。
今回は価格がハッキリしているセリで取引された馬に関しての記事であったが、庭先取引においても、例えばキタサンブラックなどは、比較的安価で取引されたといわれている。
もちろん良血馬のほうが結果を残す確率が高いからこそ、高値で取引されることは事実である。ただ、今回紹介したような比較的安価な馬たちが、G1制覇を果たす可能性がゼロではない点に、競馬のロマンを感じる人も多いだろう。
【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
1993(平成5)年6月18日、神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。
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