
近年の物価高騰の波は競馬界にも押し寄せてきており、セレクトセールでは5億円オーバーの馬もチラホラ。ひと昔前では高額馬であった1億円オーバーの馬は、セレクトセールでは今や珍しくはない。
今回は、セリで比較的低価格ながらも活躍した馬に注目。1000万円前後で購買されながらも、GⅠ制覇を果たした5頭を紹介する。[3/5ページ]
※以下の購買価格は、税抜き価格で表記する。
③ナカヤマフェスタ
購買価格:1000万円
獲得賞金:4億1979万7500円
続いて紹介するのは、ナカヤマフェスタ。この馬に関しては、二ノ宮調教師の進言により、「ナカヤマ」の冠名でお馴染みの和泉オーナーがセリで購買した経緯があった。そのため、もちろん落札後の預託先は二ノ宮厩舎。セリでの落札価格は1000万円だった。
二ノ宮厩舎からデビューしたにも関わらず、デビュー戦の騎手は厩舎の主戦ジョッキーであった蛯名騎手ではなく、内田博幸騎手。その蛯名騎手騎乗のヴィーヴァミラコロをクビ差下して新馬勝ちを収めると、2戦目からは蛯名騎手が主戦となる。
その東京スポーツ杯2歳Sを伏兵人気で制すと、翌年はクラシック3冠を皆勤。ダービーではロジユニヴァースの4着となったが、決して世代トップクラスという印象ではなかった。
しかし翌年は、メトロポリタンSからという異例のローテーションで宝塚記念へ挑戦。ブエナビスタら強豪を破り、G1初制覇を果たした。
勢いそのままに、秋にはフランス遠征を敢行。フォワ賞2着から、凱旋門賞に出走した。ただ、G1タイトルは宝塚記念1勝のみで、これまで凱旋門賞に挑戦した馬と比較すると、実績面では少し見劣りする印象であった。
この年の外国勢の注目馬は、凱旋門賞と同じロンシャンで行われたパリ大賞典とニエル賞を連勝しているベーカバドや、前年の愛ダービー馬であり、目下4連勝中で挑んできたフェームアンドグローリー。
この年の日本勢は、ナカヤマフェスタとヴィクトワールピサの2頭での挑戦であったが、注目度はエルコンドルパサーやディープインパクトの時には及ばないものであった。
しかし、ナカヤマフェスタはその下馬評を覆し、同年の英ダービー馬ワークフォースとのマッチレースを演じる。軍配はワークフォースに上がったが、英ダービー馬にアタマ差まで迫るレースぶりは、日本馬が凱旋門賞制覇に最も迫った瞬間といっても過言ではない。
11年前と同じ、蛯名騎手×二ノ宮調教師で挑んだ「チームエルコン」の挑戦は、惜しくも再びの2着という結果となった。しかし、戦前の低評価に反発するように世界の頂に迫ったナカヤマフェスタの走りは、ファンの胸を打つものがあった。



