
一世代で100頭以上の産駒を送り出すこともある種牡馬に対し、繁殖牝馬が1年に残せる1頭のみである。そのため、繁殖牝馬が競走馬の質に与える影響は大きく、優秀な母の産駒はセールで高値が付くことも多い。
そこで今回は、複数のGⅠ馬や重賞馬を送り出してきた繁殖牝馬の中から、特に優秀な母5頭を取り上げ紹介していく。[2/5ページ]
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②ダンシングキイ
続いて紹介するのは、アメリカ産馬のダンシングキイ。競走馬としては未出走であったが、目をつけた社台ファームが購入し、日本へと輸入した。
持ち込み馬の形となったラップスター(父リローンチ)は未勝利で引退となったが、日本に来てから初年度の種付けとなったエアダブリン(父トニービン)は、重賞を3勝する活躍。3冠馬ナリタブライアンの勝利したダービーでも2着となった。
その翌年からは、ちょうど種牡馬デビューを果たしたサンデーサイレンスと8年連続で交配。その父の初年度産駒となったダンスパートナー(父サンデーサイレンス)は、オークスとエリザベス女王杯を制してG1・2勝。
さらにその翌年に誕生したダンスインザダーク(父サンデーサイレンス)は菊花賞を制覇。3年連続で重賞馬を出し、2年連続でクラシックホースを輩出した。父サンデーサイレンスの評価が上がるとともに、ダンシングキイの繁殖牝馬としての価値も一気に高騰していった。
その後はなかなか活躍馬が出なかったが、晩年にはダンスインザムード(父サンデーサイレンス)を輩出。ダンシングキイが亡くなった12日後に行われた2004年の桜花賞で弔いの勝利を挙げるなど、桜花賞とヴィクトリアマイルを制してG1を2勝。牡馬相手のG1でも3度の2着を記録し、ダンスパートナー同様に男勝りな印象を受ける牝馬であった。
産駒3頭でG1・5勝を挙げ、それに加えて重賞3勝馬も輩出したダンシングキイ。産駒たちはどれも、縦縞の勝負服が似合うという印象であった。



