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藤田菜七子騎手のお手馬などダートスプリント界の名馬が多数登場!【東京盃名勝負5選】

text by 中西友馬

東京盃は、1967年に地方競馬初の短距離重賞として創設され、1995年から交流重賞、1997年にG2に格付けされた歴史あるレースだ。大井競馬場のダート1200mで行われ、近年ではJBCスプリントの前哨戦としても注目されている。地方とJRAのスピード自慢たちが競い合うレースで、伝統を守りながら進化し続けている。そんな東京盃の歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。

Limitless Bid
第20回根岸Sを制したときのリミットレスビッド

①2006年(勝ち馬リミットレスビッド)

 最初に取り上げるのは、2007年の東京盃。この年は4頭のJRA勢に人気が集まっていた。

 1番人気は、7歳牝馬のメイショウバトラー。この時点で芝も含めて重賞8勝を挙げている実績馬で、春から夏にかけて重賞4連勝中であった。ただ、その重賞勝利は千四〜千八によるもので、千二に関しては出走自体が初めてであった。

 2番人気は、8歳牡馬のリミットレスビッド。こちらも重賞5勝の実績があり、8歳シーズンに入ってからも黒船賞を勝つなど、衰えは見られなかった。また、重賞5勝の全てを千二〜千四で挙げており、前年の東京盃も勝利。連覇を目指しての出走であった。

 3番人気は、7歳牡馬のトウショウギア。交流重賞も含めて重賞勝ちこそなかったが、OP特別を5勝しているという稀有な馬であった。前走の北陸Sでも、他馬より3〜4キロ重い59キロを背負いながら2着と好走。能力的には重賞タイトルに十分手が届くものがあった。

 そして4番人気は、5歳牡馬のアグネスジェダイ。この馬もこの時点で重賞5勝を挙げており、一昨年の東京盃覇者でもあった。前走のクラスターCでメイショウバトラーに敗れており、千四から千二へと変わって、逆転なるかというところであった。

 この4頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、モエレソーブラッズとイチモンジによる激しい先行争い。スタートで少し後手を踏んだトウショウギアも巻き返してその争いに加わり、アグネスジェダイはその3頭を見るように直後へとつける展開。メイショウバトラーとリミットレスビッドは、中団あたりにポジションを取り、前の動きを窺っていた。前が競っているだけあり、スタートして2ハロン目が10秒5というハイペースで進む。そんな中、3〜4角の中間あたりで抜け出したのはトウショウギア。そのままトウショウギアを先頭に4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、横に大きく広がっての追い比べ。直線半ばまでトウショウギアが粘っていたが、それを捕らえたのら中団から一気に伸びたリミットレスビッド。連れてメイショウバトラーも伸びてきたが、伸び勝ったリミットレスビッドが勝利。2着はメイショウバトラーが確保し、3着にはこれも同じような位置にいたベルモントサンダーが入った。

 勝ったリミットレスビッドは重賞6勝目を飾り、JRA勢としては初となる東京盃連覇を達成。翌年はフジノウェーブの6着に敗れて3連覇達成はならなかったが、その後も11歳まで現役生活を続けた。10歳シーズンの年末には兵庫GTで2着に好走しており、非常に息の長い活躍を見せた。

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