
2025年は日本競馬史に、またひとつ大きな金字塔が打ち立てられた。フォーエバーヤングが、日本馬として史上初となるブリーダーズカップ・クラシック制覇という快挙を成し遂げたのである。そこで今回は、フォーエバーヤングのキャリアから象徴的な6レースをピックアップ。世界の頂点へと駆け上がるまでの軌跡を振り返る。[6/6ページ]
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⑥BCクラシック
サウジカップを勝利した後は、国内オッズ単勝1.1倍という圧倒的な支持を集めてドバイWCに出走。しかしサウジカップでの激闘による疲れがあったのか、本来の反応が見られずまさかの3着に敗れてしまう。
そして秋は前年の東京大賞典以来、約9ヶ月ぶりの国内レースとなる日本テレビ盃で始動。力の違いを見せて勝利すると、前年3着に敗れたBCクラシックへと再び挑戦することとなる。
BCクラシックには、同世代のライバルであるシエラレオーネとフィアースネスに加えて、3歳勢のソヴリンティとジャーナリズムが登録。残念ながらソヴリンティは出走取消となってしまったが、それでも前年の上位3頭を中心に豪華なメンバーが揃い、発走を迎えた。
レースは、コントラリーシンキングがハナを切り、フォーエバーヤングは2番手の外でフィアースネスと並ぶ形。ジャーナリズムは中団、シエラレオーネは最後方からの競馬となるが、9頭全馬がひとかたまりで一団のまま進んでいく。
3角では早くもコントラリーシンキングが失速し、フォーエバーヤングが先頭へと立つ。その外からマインドフレームが並びかけ、ジャーナリズムやシエラレオーネも外を回って早めに前へと接近する状況で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、先頭はフォーエバーヤング。後続からは、内から外へと進路を切り替えたフィアースネスと、大外を回って後方から上がってきたシエラレオーネが追いかけてくるが、フォーエバーヤングの脚いろは衰えない。
やはり強かった4歳世代の3頭による争いは、シエラレオーネの追撃を半馬身差で振り切ったフォーエバーヤングに軍配。さらにシエラレオーネから1馬身差の3着にフィアースネスとなった。
勝ったフォーエバーヤングは、日本馬として史上初のBCクラシック制覇を達成。くしくも上位3頭は前年と同じ3頭であったが、前年3着の雪辱を果たす、見事な勝利であった。
このように、サウジアラビア、UAE(ドバイ)、アメリカと、各国で世界のライバルたちとしのぎを削っているフォーエバーヤング。
5歳シーズンも現役続行ということで、まだまだこの馬の走りを見ることができるのは幸せなこと。今後はどんな偉業を達成してくれるのか、楽しみにしながら見ていきたい。
【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
1993(平成5)年6月18日、神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。
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