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Tap Dance City
第38回京都大賞典を制したときのタップダンスシチー

③2003年(勝ち馬タップダンスシチー)

 3強対決から2年が経った2003年。この年の京都大賞典には、同年春に天皇賞(春)と宝塚記念を連勝したヒシミラクルが出走していた。

 しかしこのヒシミラクル、G1タイトルを3つも獲得しているのにも関わらず、あまり人気になることのない不思議な馬であった。引退するまで13戦の重賞を走るも、1番人気になったことは一度もなかった。ということで、この京都大賞典もヒシミラクルは2番人気。

 代わって1番人気の支持を受けたのは、今回の主役タップダンスシチーであった。こちらはG1勝利もなく、前走の宝塚記念でもヒシミラクルの3着に敗れていた。しかしそのおかげで、ヒシミラクルの59キロに対して、1キロ軽い58キロの斤量で出走することができた。それだけでこちらが1番人気?とも思うのだが、結果的にタップダンスシチーが勝っているのだから、ファンの見る目は素晴らしい。

 レースは、ほかに行きたい馬がいないこともあり、大外枠からでも難なくタップダンスシチーがハナを切る。普段は中団後方寄りからレースを進めるヒシミラクルも、積極的に位置を取りに行き2番手を追走。早めに並びは決まり、前半1000mの通過は63秒5というかなり緩い流れ。それでも道中動く馬はおらず、隊列が変わらないまま直線を迎える。

 余力十分のタップダンスシチーは、直線でも脚いろが衰えることなく、ほかの馬たちに差を詰めさせず逃げ切ってみせた。2番手追走のヒシミラクルは早めに手が動いていたが、なんとか2着を確保。3番手追走のダンツランニングが3着という、いわゆる行った行ったのレース。

 前半1200mと後半1200mを比較して、後半のほうが5秒以上速いという超スローペースを考えると、納得の結果とも言え、正直なところ凡戦と言われても仕方のないレース内容であった。

 しかしここを勝ったタップダンスシチーは、次走のジャパンカップで9馬身差の大楽勝。翌年の宝塚記念も勝利し、凱旋門賞にも挑戦。さらには、外国産馬の歴代獲得賞金で1位に輝く活躍を見せた。

 京都大賞典の役割は、スターホースの秋の始動戦としてだけではない。ここでの勝利を足がかりに出世していく馬にとっても、重要な試金石となっている。

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