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2025年ドバイターフを制したソウルラッシュ(撮影・Katsumi.Saito=産経)
2025年ドバイターフを制したソウルラッシュ(撮影・Katsumi.Saito=産経)

天皇賞(秋)の週から短期免許で騎乗している、C.デムーロ騎手。兄にM.デムーロ騎手をもつ、フランスを主戦場とする名騎手である。今秋のG1戦線でも有力馬に騎乗し結果を残している。今回は、C.デムーロ騎手のこれまでの活躍に注目。日本馬に騎乗してG1を制したレースの中から、印象に残ったものを5つ紹介する。[5/5ページ]

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⑤2025年ドバイターフ(勝ち馬ソウルラッシュ)

 最後に紹介するのは、2025年のドバイターフ。このレースでC.デムーロ騎手は、初コンビのソウルラッシュに騎乗していた。ソウルラッシュは、前年のマイルCSで悲願のG1初制覇。その時の鞍上を務めていた団野騎手の大きなガッツポーズも印象的であった。

 このソウルラッシュに加えて、日本からはリバティアイランド、ブレイディヴェーグ、メイショウタバルも参戦。毎年のようにドバイで結果を残している日本勢が、総勢4頭の豪華なメンバーでタイトルを獲りにきたが、そこに立ち塞がる形で大本命となっていたのが、香港の雄ロマンチックウォリアー。

 サウジカップで日本のフォーエバーヤングと死闘の末に2着に敗れたが、芝の舞台では日本馬に対して無敗。ソウルラッシュも、ホームで行われた前年の安田記念で敗れていた。そのロマンチックウォリアーが圧倒的な人気を集めて、発走を迎えた。

 レースは、戦前の予想通りにメイショウタバルがハナを切り、ロマンチックウォリアーは好スタートから好位につけ、ブレイディヴェーグと並ぶような形。ソウルラッシュは、すぐ後ろからそれを見るようなポジションを確保した。前半1000mの通過は60秒を少し切るあたりで通過し、そこまで速いペースとはならず。馬群は一団のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、先行勢は手ごたえに余裕がありそうな感じであったが、中でも伸びが良かったのは、やはりロマンチックウォリアー。残り300mでメイショウタバルを交わして先頭へと躍り出る。そこに並んでいたブレイディヴェーグは苦しくなって後退する中、馬群の間を突いて伸びてきたのがソウルラッシュ。

 前を行くロマンチックウォリアーを必死に追い詰める。残り300mで2馬身あった差は、残り100mで1馬身差まで詰まり、C.デムーロ騎手のアクションに応えてついに、ゴール前では鼻面を合わせて入線。大接戦となった1着争いは、ハナ差でソウルラッシュが先着した。ついに芝の舞台でも、日本馬がロマンチックウォリアーの牙城を崩した瞬間であった。

 勝ったソウルラッシュは、前年のマイルCSに続くG1・2勝目を挙げ、海外G1初制覇。今年のマイルCS、香港マイルでもコンビを再結成し、C.デムーロ騎手は同馬の引退を見送った。

このように、これまで数々の国内外のG1で日本馬に騎乗し、勝利を収めているC.デムーロ騎手。
今年の短期免許取得期間には、どれだけの勝利を積み重ねてくれるのか、非常に楽しみである。

【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
1993(平成5)年6月18日、神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。

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