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2024年エリザベス女王杯を制した時のスタニングローズ
2024年エリザベス女王杯を制した時のスタニングローズ

天皇賞(秋)の週から短期免許で騎乗している、C.デムーロ騎手。兄にM.デムーロ騎手をもつ、フランスを主戦場とする名騎手である。今秋のG1戦線でも有力馬に騎乗し結果を残している。今回は、C.デムーロ騎手のこれまでの活躍に注目。日本馬に騎乗してG1を制したレースの中から、印象に残ったものを5つ紹介する。[4/5ページ]

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④2024年エリザベス女王杯(勝ち馬スタニングローズ)

 次に紹介するのは、2024年のエリザベス女王杯。このレースでC.デムーロ騎手は、2年前の秋華賞馬スタニングローズに騎乗。しかしスタニングローズは、秋華賞を勝利した後は極度のスランプに陥っていた。

 脚部不安による1年近い休養もあり、6戦して馬券圏内はゼロ。しかし、脚部不安による長期休養からの復帰後3戦は、着順こそ伴わなかったが休養前には見られなかった先行する競馬ができており、復活の兆しが見えてきたところで、C.デムーロ騎手との出会い。馬柱の着順からは考えられない、3番人気に支持されての一戦であった。

 一方、断然の1番人気は3歳馬のレガレイラ。春2冠は牡馬相手のレースを選択し、皐月賞、ダービーともに5着。秋初戦のローズSでは人気を裏切る5着となっていたが、絶望的な位置どりから上がり最速の末脚で5着まで追い上げていた。レガレイラのG1初制覇に期待が集まる中で、発走を迎えた。

 レースは、コンクシェルがハナを切り、ハーパーとシンリョクカが並ぶようにして2番手を追走。スタニングローズはその直後につけ、レガレイラは中団後方寄りから進めていた。前半1000mの通過は、59秒6とほぼ平均ペースで推移。前は若干バラバラも、その後ろは比較的一団という形。スタニングローズは3〜4角の中間あたりで早めに前を捕まえにいき、レガレイラは中団馬群の真ん中で4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、逃げるコンクシェルを早々と捕まえて先頭へと立つスタニングローズ。馬場の真ん中を通ってリードを広げにかかる。横に広がって混戦となった2番手争いからは、外を伸びたラヴェルが抜け出し、3番手争いは大激戦。しかしそれらを尻目に、2馬身のリードを作ったスタニングローズが押し切った。ラヴェルが2着で続き、3番手争いはホールネスが制した。

 勝ったスタニングローズは、3歳時の秋華賞以来、2年1ヶ月ぶりの勝利。C.デムーロ騎手のこの馬の能力を信じた強気な騎乗が、スタニングローズにとってのG1・2勝目を引き寄せた。

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