
天皇賞(秋)の週から短期免許で騎乗している、C.デムーロ騎手。兄にM.デムーロ騎手をもつ、フランスを主戦場とする名騎手である。今秋のG1戦線でも有力馬に騎乗し結果を残している。今回は、C.デムーロ騎手のこれまでの活躍に注目。日本馬に騎乗してG1を制したレースの中から、印象に残ったものを5つ紹介する。[3/5ページ]
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③2022年エリザベス女王杯(勝ち馬ジェラルディーナ)
続いて紹介するのは、2022年のエリザベス女王杯。このレースでC.デムーロ騎手は、ジェラルディーナに騎乗することとなる。3冠牝馬ジェンティルドンナの娘という良血馬であるジェラルディーナは、前走のオールカマーで重賞初制覇。牡馬混合のG2を勝利したことで、エリザベス女王杯でも有力馬の1頭に数えられていた。
混戦模様の中、1番人気は2年前の3冠牝馬デアリングタクト。2.3番人気で秋華賞ワンツーのスタニングローズとナミュールという3歳勢が続き、ジェラルディーナは4番人気。この4頭までが単勝10倍を切るオッズに推され、発走を迎えた。
レースは、内枠を利してローザノワールがハナを切り、マジカルラグーンが2番手を追走。人気どころでは好位につけたスタニングローズが一番前で、デアリングタクトとナミュールは中団からの競馬。ジェラルディーナはその後ろから進め、大外枠だったこともあり、終始外めを走っていた。
前半1000mは60秒3で通過し、水分をかなり含んだ重馬場だったことを考慮するとやや速めの流れ。各馬早めに鞍上の手が動く展開となり、好位にいたスタニングローズあたりは早々に手ごたえがなくなって後退。代わって大外からジェラルディーナが先行集団との差を詰めて4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、逃げるローザノワールが粘り込みを図るところに好位からウインマリリンが接近。そしてさらに離れた外からジェラルディーナとライラックが一気に差を詰めてくる。ウインマリリンが先頭に立ったのも束の間、それを交わして堂々と先頭に立ったのが、ジェラルディーナ。
重馬場もなんのその、C.デムーロ騎手のアクションに応えたジェラルディーナは上がり最速の末脚で突き抜け、先頭でゴール板を駆け抜けた。接戦となった2番手争いは、ウインマリリンとライラックが2着同着。外国人ジョッキー3人で決まったにも関わらず、3連単はともに20万超の高配当となった。
勝ったジェラルディーナは、嬉しいG1初制覇。母ジェンティルドンナとの母仔G1制覇も達成した。そして、2着同着のライラック鞍上はM.デムーロ騎手。G1では2013年桜花賞以来2度目の、デムーロ兄弟によるワンツー決着となった。



