
年の瀬のグランプリ・有馬記念は、名馬がそろう一方で番狂わせも少なくない。
昨年も5番人気のレガレイラが勝利を収め、10番人気シャフリヤールと波乱の決着だった。
そこで今回の企画では、1990年以降の有馬記念で3着以内に入ったのべ105頭のうち、単勝オッズが高かった5頭をランキング形式で紹介していく。[3/5ページ]
第3位 2001年アメリカンボス
2着(13番人気、116.9倍)
テイエムオペラオーの引退レースとした注目された2001年の有馬記念は、最も有名な“世相馬券”の一つが生まれたことでも知られる。
前年に史上初の古馬中長距離G1完全制覇を果たしたテイエムオペラオーは、5歳を迎えた同年は、有馬記念前まで6戦2勝2着3回と勝ちあぐねていた。
宝塚記念でメイショウドトウに敗れ、秋も天皇賞・秋とジャパンCで連続2着。“最強馬”が陰りを見せていたのは明らかだった。
それでもファンはテイエムオペラオーを1番人気に支持。そして2番人気はやはり、メイショウドトウだった。
5歳馬同士の“永遠のライバル対決”を期待したファンも少なくなかったが、その希望を打ち砕いたのが、3歳牡馬のマンハッタンカフェである。6番人気で菊花賞を制し、充実一途のマンハッタンカフェは3番人気の支持を得ていた。
4枠4番の絶好枠を引き当てたマンハッタンカフェと蛯名正義騎手(当時)は、スタートでやや後れたものの、すぐに挽回。ちょうど上位人気2頭とほぼ同じ位置取りの中団でレースを進めた。
武豊騎手を背にペースを握ったのはトゥザヴィクトリー。うまくスローペースに落とし込むと、折り合いに苦しむ馬もいる中、マンハッタンカフェは徐々に位置を下げ、4角では9番手の位置取り。さらに勝負どころから外々を回す苦しい展開となっていた。
しかし、4コーナー手前で鞍上のムチに反応すると、長くいい脚を使ってゴール前で先頭に躍り出た。メンバー唯一となるラスト3ハロン33秒台の末脚は、テイエムオペラ―などの強豪牡馬を黙らせた。
マンハッタンカフェが大外を回すやや大味な競馬で優勝した一方で、最内枠からロスなく立ち回る器用な競馬で2着に食い込んだのが、最低人気のアメリカンボスだった。
江田照男騎手を背にした6歳馬はそれまで中距離重賞で4勝を挙げていたが、直近の5走はすべて掲示板外。前走のジャパンCも1秒8差の10着に敗れていた。
しかし、レースではいつも以上の積極的な競馬で好位を奪うと、向正面で外目2~3番手につけ、抜け出すタイミングを計っていた。
3コーナー手前からピッチが徐々に上がる中、江田騎手が左ムチを入れながらなんとか逃げるトゥザヴィクトリーに食らいつく。脚色はやや鈍く見えたが、何とか2番手集団で最後の直線へ。
トゥザヴィクトリーが逃げ込み態勢を図る中、アメリカンボスはマンハッタンカフェと並ぶようにじりじり脚を伸ばした。
最後はマンハッタンカフェに突き放されたが、アメリカンボスはゴール寸前でトゥザヴィクトリーに競り勝ち、2着を確保した。
2001年といえば、9月11日にアメリカで同時多発テロが発生。奇しくもアメリカに関する馬名を冠した2頭“マンハッタン”と“アメリカン”がワンツーを決め、大きな注目を集めた。



