悲願の凱旋門賞制覇への課題とは
このように、凱旋門賞制覇まであと一歩と迫っているからこそ、期待が大きくなってしまう部分はある。
この4回の2着に共通することは、いずれも自分より軽い斤量の馬に敗れているということ。凱旋門賞は、3歳牝馬が54.5キロで出走できるのに対し、4歳以上の牡馬は59.5キロと、5キロもの斤量差がある。なので理想としては、3歳馬や牝馬で挑戦できる馬がいることが勝利への近道なのである。
ただやはり、日本の3冠制度の日程を考えると、春2冠を制した馬は3冠を捨てて凱旋門賞に挑戦することとなり、現実的ではない。
実際、今まで日本から挑戦した3歳馬たちは、やはり春2冠の少なくともどちらかを取りこぼしてしまった馬たち。中でも、3歳牝馬で挑戦した2014年のハープスターは、マイルまでしか勝利経験がなく、距離適性に疑問の残った中でも6着と健闘した。
この結果を見ても、3歳牝馬の斤量による恩恵が大きいことは周知の事実である。ハードルが高いのは分かっているが、今後挑戦する馬が出てきてくれれば楽しみだ。
オルフェーヴルやディープインパクト(3着入線→失格)が挑戦した年はいちファンとしてワクワクし、そのぶん、こんな強い馬でも負けるのかと大きなショックを受けた。やはり凱旋門賞には、人を惹きつけるなにかがあるのだろう。
そして今年は矢作厩舎からシンエンペラーが挑戦する。父が凱旋門賞馬という血統背景や愛チャンピオンSで3着に入るなど、欧州の馬場にも適性があることを示している。今年も一競馬ファンとして凱旋門賞を楽しみたい。
(文●中西友馬)