【劇的なG1初制覇を飾った騎手 5選】強烈なインパクト!ファンの記憶に刻まれた“最初の一冠”

どれほど輝かしいキャリアを築いた騎手でも、必ず「G1初制覇」という特別な瞬間が存在する。あっさりとG1の壁をクリアした者もいれば、何度も跳ね返され、苦悩の末にようやくタイトルを掴み取った者もいる。今回は騎手のG1初制覇の中から、特に“劇的”だった5人を厳選。その一戦一戦をじっくりと振り返る。[1/5ページ]
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①C.ルメール
2005年有馬記念 ハーツクライ
最初に紹介するのは、今やJRA所属のトップジョッキーとなっているルメール騎手。そんなルメール騎手のJRA・G1初制覇は、ハーツクライで制した、2005年の有馬記念。
この年の有馬記念は、ディープインパクト一色。デビューから7戦7勝、史上2頭目となる無敗での3冠制覇を達成した「英雄」の単勝オッズは1.3倍。古馬との初対戦ではあったが、圧倒的な支持を集めていた。
対するハーツクライは4番人気。直前のジャパンカップでは、後方から脚を伸ばしてレコード勝を果たしたアルカセットとハナ差の2着。ジャパンカップでは日本馬最先着とはなったものの、いまだG1タイトルには手が届いていなかった。
レースは、大方の予想通りにタップダンスシチーがハナを切り、オースミハルカが2番手。いつも通り後方に下げて悠然と構えるディープインパクトに対して、ハーツクライはなんと3番手から進めていた。
1000mは推定61秒台で通過し、平均〜やや遅めの流れ。ディープインパクトはいつもと同じく外を回ってポジションを上げて、ハーツクライの2〜3馬身後ろまで迫って4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、逃げるタップダンスシチーを交わしてコスモバルクが先頭。その外からハーツクライが並びかけ、さらにその後ろからディープインパクトも追いかけてくる。
残り200mで先頭へと立ったハーツクライを目がけて伸びてくるディープインパクト。しかしその差はジリジリとしか詰まらず、半馬身まで迫ったところがゴール。
入線後に手を挙げたのは、ハーツクライの馬上にいたルメール騎手であった。いつもの戦法とは違う先行策で、ディープインパクトを封じ込めた会心の騎乗。
馬の強さはもちろんだが、ルメール騎手の手腕を思い知らされたレースであった。



