東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は12月6、7日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。[2/3ページ]
12月6、7日の2歳戦レビュー評価一覧

◆ゴディアーモ
12月6日 新馬 中山芝2000m 1着
評価:★★★★
騎手:ルメール
厩舎:美浦・森一誠
父:リオンディーズ
母:パルティアーモ
母の父:ワークフォース
《短評》
右にややヨレるような発馬で一歩目は速くなかったが、そこからスピードに乗って自然と2番手へ。3角手前でマクってきた馬に呼応してピッチを上げ先頭に立つ。4角ではやや外に膨れ気味だったが、直線に向くと再加速し、ほとんど馬なりのまま1.3/4馬身差で勝利した。
内容的には楽勝で、ほぼ追われていないにもかかわらずラスト11.7-11.2の加速ラップ。2:01.1の勝ち時計もまずまず速い。ただしこの日は2歳1勝クラス・葉牡丹賞で1:58.2のレコードが出ており、馬場が高速だった分を差し引く必要はある。その点を考慮して★4に留めた。
◆ブレットパス
12月6日 未勝利 阪神芝1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・中内田充正
父:アルアイン
母:パッシングスルー
母の父:ルーラーシップ
《短評》
スタートひと息で中団馬群のなかでの追走。直線は外に持ち出して、先に抜けた2着馬を猛追。最後の最後、まさにゴールの瞬間でハナ差だけ差し切った。
こちらも開幕週、メインの鳴尾記念で1:43.7が出た高速馬場は考慮すべきだが、ラスト2F11.0-10.8の加速ラップはなお出色だ。
阪神外回りは構造上加速ラップが出にくいコース(※残り400-200mはやや下り坂、残り200mから急な上り坂)で、過去10年の2歳戦を遡ってもラスト1Fがその前区間より速かったのは5例だけ。また世代、内回り外回り問わず、現行の阪神コースで「ラスト1F10.8秒」は史上最速だった。
父アルアインは皐月賞と大阪杯の勝ち馬、母パッシングスルーは紫苑Sの勝ち馬。血統的にこういう瞬発力勝負が本領とは思えないが、それでもこの脚を使えた点は注目に値する。春のクラシックに向けて楽しみな素材が現れた。
◆メイクワンズデイ
12月7日 未勝利 阪神芝1400m 1着
評価:★★★★
騎手:松若風馬
厩舎:栗東・宮地貴稔
父:ベンバトル
母:スリーアロー
母の父:アルデバラン2
7枠15番から好スタートを切り、内のコスモファーブロスを行かせて2番手で抑えにかかるが、スピードがありすぎて3角先頭。4角で後続を早くも突き放し、直線は完全に独走。ラストは流す余裕も見せて3馬身差の快勝となった。
この日も馬場が高速だったとはいえ、勝ち時計1:20.2はメイケイエールが持つ2歳コースレコードと0.1秒差。1400mを使っていくならもう少し我慢は利いてほしいが、葵S路線なら出番がありそうだ。



