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2012年英チャンピオンステークスを制した時のフランケル(Photo by Alan Crowhurst/Getty Images)
2012年英チャンピオンステークスを制した時のフランケル(Photo by Alan Crowhurst/Getty Images)

歴代最強馬という議題で競馬ファンが話すとなると、さまざまな名馬が登場することが予想される。
例えば、イクイノックスを挙げれば「それを倒したドウデュースのほうが強い」という意見もあるだろう。
そこで今回は、誰にも負けたことのない馬に注目。無敗のまま現役を引退したG1馬を国内外で5頭ピックアップし、順に紹介する。[4/5ページ]

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④フランケル(14戦14勝)

 次に紹介する馬はフランケル。

 欧州芝マイル〜中距離戦線で連勝を伸ばし、その戦績は14戦14勝。さすが世界は広いと思わせる戦績であり、14勝で2着馬につけた着差は合計76馬身超というのだから、いかに圧倒的な強さであったかが分かるだろう。

 そんなフランケルであるが、意外にもデビュー戦で2着馬につけた着差は半馬身。その理由は、2着馬がのちにキングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどG1・2勝を挙げたナサニエルであったためだった。

 しかし、その後は圧勝の連続。2戦目で13馬身、3戦目で10馬身の大差をつけて勝利を収めると、初のG1挑戦となったデューハーストステークスも快勝。2歳シーズンを4戦4勝で終える。

 3歳初戦を4馬身差で快勝したフランケルは、クラシック競走である英2000ギニーへと出走。この大舞台で、今までしたことのない大逃げという戦法を取ったフランケルは、道中では10馬身以上の差をつけ、そのまま6馬身の差をキープしたままゴール線を駆け抜けた。

 この英2000ギニーの勝利を皮切りに、フランケルはマイルG1を7連勝。ゲームの世界の話かと思うような連戦連勝で、4歳の夏を迎える。これまで1400〜1600mで12戦12勝だったフランケルは、ついに英国際ステークスで中距離戦に挑むこととなった。

 BCターフ勝ち馬のセントニコラスアビーら、錚々たる中距離戦線の猛者達が集結した一戦であったが、それら世界トップクラスの馬たちが目一杯に追われている横を、馬なりで交わしていくフランケル。距離延長に対する不安もなんのその、7馬身差の圧勝で13連勝を飾った。

 そしてこの圧勝のレースで得たレーティングは140。ダンシングブレーヴの141に次ぐ、歴代2位のレーティングを獲得した。

 2ハロン以上の距離延長となった英国際ステークスを楽勝したことで、さらに距離を延ばした凱旋門賞への出走も囁かれ始めたが、陣営は英チャンピオンステークスへの出走を発表。さらに、このレースがラストランとなることも同時に発表された。

 不良馬場に近い重馬場で、よりスタミナが要求されるレースとなった英チャンピオンステークスであったが、フランケルは出遅れもものともせずに差し切り勝ち。デビューから14戦14勝、G1・9連勝を達成し、フランケルはターフを去った。

 現役引退後は種牡馬となり、産駒は日本でも活躍。ソウルスターリングやモズアスコット、グレナディアガーズなどがG1馬となっており、今後もさらなる活躍馬の誕生が期待される。

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