
歴代最強馬という議題で競馬ファンが話すとなると、さまざまな名馬が登場することが予想される。
例えば、イクイノックスを挙げれば「それを倒したドウデュースのほうが強い」という意見もあるだろう。
そこで今回は、誰にも負けたことのない馬に注目。無敗のまま現役を引退したG1馬を国内外で5頭ピックアップし、順に紹介する。[2/5ページ]
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②フジキセキ(4戦4勝)
次に紹介する馬は、フジキセキ。3歳(現2歳)の8月に新潟でデビューしたフジキセキは、新馬戦を8馬身差で圧勝。しかも、芝1200mでこれだけの差をつけたのだから驚きである。
次走はマイルに距離を延長したもみじステークス。ここでは新馬戦ほどの圧勝とはならなかったが、好位追走から危なげない走りで連勝。このレースで2着に下したのが、のちにダービーを制覇し、世代の頂点へと立つタヤスツヨシであった。
そして2戦2勝で迎えた朝日杯3歳S(現朝日杯FS)。人気の中心はフジキセキで、単勝1.5倍と抜けた1番人気。続く2番人気は、こちらもここまで2戦2勝のスキーキャプテン。無敗のG1制覇を目指す2頭が人気を集めて、発走を迎えた。
レースは、ニッシンソブリンとマイティーフォースが並ぶようにして先行争い。フジキセキはその先行2頭を見るようにして、好位のインコースにポジションを取る。対するスキーキャプテンは、出負けして後方からとなっていた。
前が少し競り合ったことで、前半の800m通過は46秒6と、ペースは若干速めの印象。10頭の少頭数ながら、馬群はかなり縦長のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
勝負どころでも手ごたえ十分だったフジキセキだが、外には馬がいたため内ラチ沿いの進路を選択。ほとんどスペースがないように思われたが、ニッシンソブリンの内から先頭へと抜け出す。そこに差を詰めてきたのは、4角最後方から大外を伸びてきたスキーキャプテン。
前評判通りに無敗馬2頭の一騎打ちとなったゴール前は、フジキセキがクビ差凌いで勝利。3連勝で見事にG1初制覇を果たした。
翌年の始動戦となった、皐月賞トライアルの弥生賞も勝利して4戦4勝としたフジキセキ。もちろんクラシック最有力候補であったが、皐月賞を前に屈腱炎を発症。そのまま現役引退が発表された。
現役引退後は、繁殖シーズン途中ながらも種牡馬入り。日本初のシャトル種牡馬として豪州にも渡り、日本でのG1馬としては、カネヒキリやキンシャサノキセキ、ストレイトガールなどを輩出した。
そして種牡馬生活も晩年に差しかかった2014年には、イスラボニータが皐月賞を制覇。父の立てなかった舞台で勝利を飾り、父にとって悲願のクラシックタイトルをもたらした。



