宝塚記念と有馬記念、この2レースは「グランプリ」と呼ばれ、ファン投票が行われるG1である。施行時期としても、上半期の総決算と下半期の総決算を担っており、競馬ファンの注目度も非常に高いレースである。
そこで今回は、この「春秋グランプリ」を同一年に制した名馬たちに注目。中でも印象に残った5頭をピックアップして、紹介する。[4/5ページ]
④2019年 リスグラシュー

次に紹介するのは、リスグラシュー。この馬も、2歳時から牝馬の中では世代トップクラスの力を示していた馬であった。
デビュー2戦目の未勝利戦でレコード勝ちを果たし、翌年の牝馬クラシックでも②⑤②着と常に上位争いを繰り広げていた。
古馬になってからも、ヴィクトリアマイルでハナ差2着など、なかなかG1タイトルに縁がなかったが、4歳秋のエリザベス女王杯でG1初制覇。
そしてついに完全覚醒を果たしたのが、レーン騎手との初コンビとなった5歳時の宝塚記念であった。1番人気のキセキが刻むペースを2番手でピッタリとマークし、残り200mでキセキを交わしてからは独壇場。後続に3馬身の差をつける完勝を収めた。
春のグランプリを制したリスグラシューは、秋初戦となったコックスプレートも勝利。そして引退レースの有馬記念には、特例適用によって騎乗可能となったレーン騎手とのコンビで出走した。
人気の中心はひとつ下の3冠牝馬アーモンドアイで、断然の1番人気。リスグラシューは少し離れた2番人気で発走を迎えた。
しかし、リスグラシューとレーン騎手のコンビは、終始距離ロスのないラチ沿い追走から、直線では馬群の大外へとワープする異次元の進路取りを見せて突き抜け、5馬身差の圧勝。
有終の美を飾り、牝馬としては史上初の春秋グランプリ制覇を達成した。有馬記念のあまりの強さに引退を惜しむ声が多い中、リスグラシューはまさに絶頂期のままターフを去っていった。



