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Mick Fire
第25回ジャパンダートダービーを制したときのミックファイア

⑤2023年(勝ち馬ミックファイア)

 クリソベリルの勝利から4年が経った、2023年のジャパンダートダービー。そのクリソベリル以来、史上3頭目の無敗制覇を目指してこのレースに出走していたのが、ミックファイアであった。

 ミックファイアは地元大井でデビュー。2歳時を3戦3勝で終えるも、裂蹄により調整が遅れ、1冠目の羽田盃には5ヶ月ぶりのぶっつけ本番で挑むこととなった。しかし、初の重賞挑戦にも関わらず、後続を引き離す6馬身差の圧勝劇で1冠目を奪取。続く東京ダービーも6馬身差の圧勝を飾り、無敗の3冠制覇を目指してJRA勢を迎え撃つ形となっていた。

 対するJRA勢の大将格は2頭。1頭目は、4戦3勝2着1回というほぼパーフェクトな成績を残していたユティタム。デビュー戦こそ、のちにユニコーンSを制するペリエールの2着に敗れたが、その後3連勝。直前の青竜Sでも2馬身差の快勝と力を見せ、ここに臨んでいた。

 もう1頭は、5戦4勝のミトノオー。適性外の千四だったオキザリス賞こそ11着と崩れたものの、その他のレースはいずれも千八以上の距離で4戦4勝。直前の兵庫CSで、地方の深い砂を経験しているのも強みと見られていた。

 単勝1番人気はミックファイアの2.0倍。ユティタムが3.1倍で続き、ミトノオーが3.7倍の3番人気。この3頭のみが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、ミトノオーがハナを切り、テーオーリカードが2番手につける展開。ユティタムはその直後の好位外めを追走し、それを見るような形でミックファイアが続いていた。前半1000mの通過は60秒2と、良馬場にしてはかなり速い流れで進む。そんなハイペースでも楽な手ごたえのミトノオーとは対照的に、3角入り口ではすでに2番手のテーオーリカードの手綱は激しく動いていた。その手ごたえ通りにミトノオーが後続を引き離していき、後退したテーオーリカードに代わってユティタムとミックファイアが併せ馬の形で2.3番手に浮上して4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、ミトノオーのリードは5馬身以上。ユティタムとミックファイアの2番手争いからはミックファイアが前に出て、ミトノオーを追いかける。直線入り口ではセーフティーリードかと思えたミトノオーのリードだったが、ハイペースがたたって脚いろが鈍る。そこに一完歩ごとに迫ったミックファイアが、残り100mを切った辺りで交わして先頭。そのままリードを広げ、最後は後続に2馬身半の差をつけて勝利。2着には連れて追い込んだキリンジがゴール前で浮上し、ミトノオーはクビ差の3着となった。

 勝ったミックファイアは、南関東3冠として行われる最後の年に、史上8頭目となる南関東3冠を達成。無敗での達成はトーシンブリザード以来2頭目で、羽田盃・東京ダービー・ジャパンダートダービーの3冠となってからは初の3冠馬に輝いた。

 ミックファイアはその後、ダービーGPも制して連勝を7に伸ばした。続く東京大賞典でデビューからの連勝はストップしたが、現在もJRA勢相手に戦いを挑み続けている。

 このように、ミックファイア以前のジャパンダートダービー勝ち馬には、後のダート界を席巻した馬たちがズラリと並ぶ。

 新しくジャパンダートクラシックとして生まれ変わった2024年以降も、ダート界で活躍を目指す馬たちの登竜門となっていくことだろう。

(文●中西友馬)

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