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Kane Hekili
第9回ジャパンカップダートを制したときのカネヒキリ

③2005年(勝ち馬カネヒキリ)

 ゴールドアリュールの圧勝劇から3年が経った2005年。この年の勝ち馬カネヒキリも、ダート界を席巻した名馬であった。
 
 カネヒキリもゴールドアリュールと同じく芝でデビューするも、2戦した2歳時には勝利を挙げられず。

 休養を経て迎えた、初ダートの未勝利戦がこの馬の転機となった。約半年ぶりの実戦に加え、ダート適性も未知ということで単勝9番人気という伏兵扱い。しかし2番手追走から楽々抜け出し、後続を7馬身引き離してみせた。

 続く500万下(現1勝クラス)の平場戦でも、2着馬を1秒8突き放す大差勝ち。芝の毎日杯では7着に敗れたが、OPの端午ステークスを9馬身差で圧勝、ユニコーンステークスも単勝1.1倍の断然人気に応えて重賞初制覇を飾った。

 そして、ダートに限れば4戦4勝の負けしらずで迎えたジャパンダートダービー。単勝オッズはユニコーンステークスに続いて1.1倍で、カネヒキリがどう勝つかに注目が集まっている印象であった。

 レースは、アグネスジェダイがハナを切り、カネヒキリは好位の外めにつける。いつでも動ける位置を確保すると、向正面から少しずつ位置を上げ、4角手前では馬なりで先頭へと立つ。そのまま最後の直線へと向かうと、後続に差を詰めさせず4馬身差の完勝。危なげない横綱相撲での勝利であった。

 カネヒキリはその後、3歳にしてジャパンカップダートを制覇。翌年のフェブラリーステークスも勝利し、カネヒキリ時代の到来を予感させたその年の帝王賞後に屈腱炎を発症。長期離脱を余儀なくされる。

 休養中に屈腱炎の再発もあり、レースに復帰できたのは約2年4ヶ月もの時が経った6歳の10月。しかし復帰2戦目のジャパンカップダートで約2年10ヶ月ぶりの勝利を挙げると、引退までにG1級のタイトルを7つ獲得。まさに陣営の諦めない努力によって蘇った、不死鳥のような馬であった。

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