②2002年(勝ち馬ゴールドアリュール)
トーシンブリザードが単勝1.0倍という断然人気に応えた勝利から1年。2002年の主役ゴールドアリュールもまた、圧倒的な人気に応える圧倒的な勝利であった。
ゴールドアリュールは、時代の寵児サンデーサイレンス産駒ということもあり、芝中距離でデビュー。2戦目で初勝利を挙げるも、その後は500万下(現1勝クラス)での足踏みが続いた。
転機となったのは3歳4月の平場戦。初のダートに挑戦し、今まで勝ち切れなかったのがウソのように4馬身差の完勝。続くOPの端午ステークスも4馬身差で勝利して賞金を上積みしたゴールドアリュールは、かねてから目標にしていた日本ダービーへの出走を果たす。
芝では未勝利戦を勝っただけだったため13番人気という低評価であったが、ゴール前での横一線の争いに加わってタニノギムレットの5着。2着馬シンボリクリスエスからはコンマ1秒差という、見せ場たっぷりのレースぶりであった。そして改めて、2戦2勝のダート路線に舵を切って迎えたのが、ジャパンダートダービーであった。
ダートは2戦2勝と底を見せていない上、芝のG1で5着に入るほどのポテンシャルの高さ。単勝オッズは1.5倍と断然の1番人気に推され、発走を迎えた。
レースは、スピードの違いでハナを切ったゴールドアリュールが、自分のペースを刻んでいく。馬群は縦長となり、ついてきた馬は軒並み手ごたえが怪しくなる中、逃げ馬だけが楽な手ごたえで4角を回り、最後の直線へと向かう。
ゴールドアリュールも直線に入って追い出されると、後続を突き放す一方の一人旅状態。そのまま圧勝のゴールとなった。好位にいた馬は苦しくなり、7馬身離れた2着には、道中最後方から追い上げたインタータイヨウが入った。
G1級初制覇となったゴールドアリュールは、その後3つのG1級競走を制覇し、ダート界の王者に君臨した。翌年の2003年、ノド鳴りによって現役引退を余儀なくされたが、種牡馬になってからも大活躍。エスポワールシチーやコパノリッキー、スマートファルコンなどG1級勝ち馬を11頭も輩出した。さらにそのほとんどが、芝と比べてレースの絶対数が少ないダートによるG1級制覇というのも驚きである。まさに、ダート界のサンデーサイレンスと言っても過言ではない大種牡馬となった。