【JDC名勝負5選】トーシンブリザード、ゴールドアリュール、カネヒキリ……勝ち馬には砂の名馬がズラリ
1999年に創設されたジャパンダートダービーは、2024年に『ジャパンダートクラシック』へと改称され、開催時期も10月へ移動した。これは3歳ダート競走における最強馬決定戦である。過去には、2001年に無敗で南関東3冠を達成したトーシンブリザードや、2002年に圧勝したゴールドアリュールなど、名馬たちがその歴史を彩ってきた。そのジャパンダートダービーの歴史から、ピックアップした5つのレースを紹介する。
①2001年(勝ち馬トーシンブリザード)
ジャパンダートダービー創設3年目となる2001年。ある1頭の怪物が、地方・船橋から誕生した。その名はトーシンブリザードだ。
史上初となる、無敗でジャパンダートダービーを制覇すると同時に、こちらも史上初となる無敗での南関東3冠(ジャパンダートダービーを含めると4冠)を達成した船橋の星である。
その素質は、3歳(現2歳)から際立っていた。2戦2勝で挑んだ全日本3歳優駿で、並み居る中央勢を抑えて重賞初制覇。
年齢表記変更により再び迎えた3歳シーズンも連戦連勝。現在の南関東3冠の対象レースである羽田盃と東京ダービーに加え、この年が最後の開催となった東京王冠賞も勝利。この当時の南関東3冠レースを無敗で制覇し、デビューから7戦7勝。向かうところ敵なしで挑んだのが、ジャパンダートダービーであった。
JRA勢が相手であっても、戦前の評価はトーシンブリザードが圧倒的。単勝オッズはなんと1.0倍を示していた。中央交流のG1で地方馬が1.0倍というのは今では考えられないが、この時のトーシンブリザードの強さはそれほど際立っていたということである。
レースは、3冠レースで常に先手を取っていたフレアリングマズルが不在の中、トーシンブリザードがハナを切る意外な展開。馬群は比較的密集した形で進み、トーシンブリザード打倒に燃えるJRA勢が、4角手前で早めに捕まえにくる展開。
そのまま4角を回って最後の直線に入ると、ジリジリとトーシンブリザードが後続を突き放しにかかる。鞍上の石崎隆之騎手が後ろを確認しながら、余裕の走りで2番手以下に差を詰めさせない。2着馬との着差は1馬身半差と大きく突き放したわけではなかったが、どこまで走っても縮まることのない1馬身半差に見えた。
しかしトーシンブリザードはその後、骨折が判明。復帰戦の東京大賞典では3着となり、デビューからの連勝が8でストップするも、初の古馬相手に健闘した。さらに、明け4歳となったフェブラリーステークスではアグネスデジタルの2着に入るなど、JRA勢相手にも互角の戦いを見せた。
二度と現れない南関東4冠馬は、まさに真夏の夜に吹き荒れるブリザードのような強さであった。