HOME » コラム » 5選 » 【3歳馬が制覇したチャンピオンズカップ 5選】若きダート王が爆誕!異次元の才能をプレイバック » ページ 2

JRAで行われるダートG1は年間2つしか行われないこともあり、注目度の高いチャンピオンズカップ。特に今年の第1回特別登録では3歳馬が2頭登録しており、古馬勢との力関係も気になる。そこで今回は、チャンピオンズカップ(ジャパンカップダート時代も含む)で3歳馬が優勝した瞬間をプレイバック。5つのレースを順に紹介する。[2/5ページ]

②2005年 カネヒキリ

2006年フェブラリーSを制した時のカネヒキリ
2006年フェブラリーSを制した時のカネヒキリ

 ジャパンカップダートを3歳馬として初めて制したクロフネは、屈腱炎によって現役引退を余儀なくされた。それから4年が経った2005年。同じ3歳馬で同じ勝負服、同じ鞍上の馬がジャパンカップダートを制した。それがカネヒキリである。

 カネヒキリもクロフネと同じく芝デビュー。しかし2戦して馬券圏内には入れず、3戦目で初のダート戦へと挑戦。このレースを7馬身差で圧勝すると、そこから芝の毎日杯7着を挟むが、ダート戦では連戦連勝。ジャパンダートダービーとダービーグランプリという2つのG1級タイトルも手に入れ、武蔵野Sで古馬と初対戦を果たす。

 しかし結果は、ダービーグランプリで下した同じ3歳馬のサンライズバッカスに敗れての2着。3キロの斤量差が大きく響いた形で、ダート戦での連勝は6でストップした。

 そして迎えたジャパンカップダート。並居る古馬勢や、前走で敗れたサンライズバッカスも出走する中、カネヒキリは1番人気。世界の名手デットーリの乗るサカラートや、昨年覇者のタイムパラドックスなどが上位人気を集め、発走を迎えた。

 レースは、ユートピアとアジュディミツオーが先行する形。タイムパラドックスとサカラートはともに好位につけ、それを見るようにして、カネヒキリは中団から進めていた。1000m通過は推定60秒前後という淀みのないペースで流れる中、アジュディミツオーは4角手前で失速。代わってシーキングザダイヤが2番手へと浮上し、ユートピアを追って4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、残り400mでシーキングザダイヤが先頭へと立つが、人気馬を含めた後続馬たちが横に広がって追い込んでくる。中でも伸び脚が目立ったのが、内に潜り込んだスターキングマンと外を伸びたカネヒキリ。シーキングザダイヤを間に挟んで、残り200mからは3頭による叩き合い。

 一度は内からスターキングマンが前に出たように見えたが、最後は外の2頭が並んでの首位争い。これをハナ差で制したのは、外のカネヒキリ。クロフネ以来、2頭目となる3歳馬でのジャパンカップダート制覇となった。

 その後カネヒキリは、クロフネと同じく屈腱炎を発症して長期離脱となるも、懸命な治療によって復帰を果たす。屈腱炎から復帰するだけでもすごいことだが、3歳で制した3年後、阪神で行われたジャパンカップダート。

 まさに3年前の再現のような3頭による叩き合いを制して勝利。屈腱炎は不治の病という競馬界の概念を根底から覆す、不屈の精神力を持った馬であった。

1 2 3 4 5