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【サウジアラビアRC名勝負5選】ダノンプレミアムやグランアレグリアなど後のGⅠ馬を輩出する出世レース

text by 中西友馬

 エアグルーヴやメジロドーベル、イスラボニータなど数多くの名馬を生み出してきたいちょうステークス。2014年の重賞格上げを経て、2015年からはサウジアラビアロイヤルカップという名称に生まれ変わった。2016年からはG3となったこのレースは、東京芝1600mという条件から出世レースと呼ばれ、毎年素質馬が数多く出走している。まだ名称変更後の歴史は浅いが、その中から5つのレースを取り上げて紹介する。

Brave Smash
第1回サウジアラビアRCを制したときのブレイブスマッシュ

①2015年(勝ち馬ブレイブスマッシュ)

 2015年は、サウジアラビアロイヤルカップという名称になって1年目。いちょうステークスの歴史は引き継いでいないため、記念すべき第1回サウジアラビアロイヤルカップである。まだグレード格付けがされておらず、新設重賞という扱いであった。

 2歳戦のため当然全馬キャリアは浅いが、その中でも注目を集めていたのはイモータル。新潟芝1800mの新馬戦を5馬身差の圧勝。かなりの視覚的インパクトを与える勝ち方で、単勝1番人気に支持されていた。

 2番人気はアストラエンブレム。こちらは2戦目での勝ち上がりであったが、この馬も勝ったレースが4馬身差の圧勝だったことと、初戦で敗れたロスカボスが続く野路菊ステークスも連勝したことが、この馬の評価も高めていた。

 そして主役のブレイブスマッシュは単勝4番人気。この馬も勝ったレースは5馬身差の圧勝であったが、勝ち上がりが4戦目であったことと、3戦目で前出アストラエンブレムに4馬身差をつけられていることもあり、4番人気に甘んじていた。

 レースはこの時期の2歳戦にしては淀みのないペースで進み、縦長の展開。有力馬は軒並み中団のほぼ同じ位置どりに固まっていた。直線に入ると、先に上がっていったブレイブスマッシュが前との差を詰め、残り150mで先頭に立つ。

 そこにイモータルとアストラエンブレムが併せ馬の形で追い込んでくる。ゴール前は3頭での争いになるも、ブレイブスマッシュが追撃を振り切って勝利。重賞初制覇を飾った。

 ブレイブスマッシュはその後、日本で重賞を勝つことはできなかったが、4歳時にオーストラリアに移籍すると、G1タイトルを2つ獲得。そのままオーストラリアで種牡馬入りを果たした。

 サウジアラビアロイヤルカップの歴史は、世界に羽ばたいたBrave Smashから始まった。

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