競馬の世界で最高峰に位置づけられる「G1」。そのタイトルは騎手であれば一度は夢見る頂だろう。だが、その壁は高い。そもそも騎乗機会が限られ、さらに勝つには、運も馬の力も、技術も、すべてが噛み合わなければならない。そこで今回はG1初勝利までに最も多く挑戦した騎手たちトップ10 をランキング形式で紹介していく。[4/10ページ]
第7位 北村友一
挑戦46回目・2019年大阪杯・アルアイン

デビュー2年目の2007年春に新潟リーディングを獲得し、翌2008年には通算100勝目に重賞初制覇という活躍を遂げた北村友一騎手。
続くデビュー4年目の2009年には高松宮記念で18頭中15番人気のソルジャーズソングを3着に導き、ミヤビランベリとのコンビで重賞も2勝した。春の牡馬クラシック二冠にも初騎乗を果たし、一見、順調に騎手としてのキャリアを積んでいったように見える。
しかし、デビューからわずか4年間で大きな落馬事故を2回経験。前述のシェーンヴァルトやミヤビランベリも、「さぁこれから」という時の事故で離脱せざるを得なくなった。
そして、G1の舞台でも厳しい成績が続く。2009年の皐月賞から2018年のNHKマイルカップまで、36戦連続で3着以内はなし。だが、重賞タイトルを手にできなかったのは2014、15年の2年間だけで、全く成績が残せなかったといわけではない。
そうしてコツコツと成績を残してきた北村友一騎手は、2018年の秋から明らかに風向きが変わった。
秋華賞では落馬負傷となった石橋脩騎手の代打でラッキーライラックに騎乗し、天皇賞(秋)では前走のオールカマーからコンビを組んだアルアインに騎乗。
G1でも上位人気に推される馬たちの手綱を任されることも増えた。そして暮れの12月、ノーヴァレンダで全日本2歳優駿を制しG1級競走を初制覇すると、翌2019年の大阪杯でアルアインと再コンビを組む。
前年のクラシックで活躍したブラストワンピースやワグネリアン、同世代のクラシックホースであるキセキが人気を集める中9番人気という低評価ではあったが、勝負所で迷いなく最内を選択すると一気に突き抜けて復活の勝利。まさに横綱相撲といえる走りであった。
この勝利でG1の連敗を45でストップさせた友一騎手は、同年秋に秋華賞をクロノジェネシス、阪神ジュベナイルフィリーズをレシステンシアで勝利して、一気に年間G1・3勝を達成。
そして彼女たちが引退した後にはクロワデュノールと出会い、2025年にはダービージョッキーに輝いた。
友一騎手が2025年10月現在で挙げたG1勝利7つのうち、サンデーレーシングと共に挙げた勝利は6つ。思えば、重賞初勝利に加え、ダービー初騎乗とその初勝利も同クラブの馬で達成しており、両者の関係は非常に縁深い。
これから先もサンデーレーシングの名馬に騎乗して競馬場を沸かせる友一騎手の姿は、まだまだ見られるのではないだろうか。



