HOME » コラム » 5選 » 【無冠の父から生まれたGⅠ馬 5選】とんびが鷹を生んだ?血統の常識を超えた競馬のロマン » ページ 3

ブラッドスポーツ、そう呼ばれるほど競馬の世界で血統は重要だ。勝てない血が淘汰され、勝てる血が残っていく。だが、時として常識を覆す例外も現れる。G1を勝てなかった父から、突然、類まれな才能を持つ名馬が生まれるのだ。まさに「とんびが鷹を生む」。今回は、無冠の父から生まれ、G1を制した5頭の名馬を紹介する。[3/5ページ]

③ビートブラック(父ミスキャスト)

2012年天皇賞(春)ビートブラック(写真右)
2012年天皇賞(春)ビートブラック(写真右)

 続いて紹介するのは、ビートブラック。その父はミスキャストで、現役時代はプリンシパルSなど5勝を挙げたが、G1はおろか重賞勝ちにも届かなかった。

 ただ、新馬勝ち直後のデビュー2戦目で挑んだ弥生賞では、マンハッタンカフェに先着しての3着。皐月賞の優先出走権を獲得して皐月賞でアグネスタキオンの6着に健闘した。

 また、プリンシパルS快勝後に骨折が発覚してダービー出走は叶わなかったが、復帰戦のAJCCでは初の古馬相手に4着となるなど、随所にポテンシャルの高さを感じる馬であった。

 現役引退後は、父が大種牡馬サンデーサイレンス、母がG1・2勝馬ノースフライトであるという血統背景が評価され、種牡馬入り。

 その初年度産駒として誕生したのが、ビートブラックであった。重賞未勝利馬であるミスキャストを父に持ち、ダートの条件戦で5勝を挙げた母アラームコールから誕生したビートブラックは、当然のように母の主戦場であるダートでデビュー。

 7戦目で初勝利を挙げるも、3歳春に条件をガラッと変えた芝中距離戦に出走すると、能力の片鱗を見せる。500万下(現1勝クラス)、1000万下(現2勝クラス)を勝利して挑戦した菊花賞で3着に健闘。

 その後、オープンクラスに上がってからは重賞勝利になかなか手が届かなかったが、5歳で迎えた天皇賞(春)を、単勝159.6倍の14番人気で勝利。

 そして、単勝1.3倍と圧倒的1番人気だったオルフェーヴルが、11着同着に敗戦。ビートブラックの一世一代の走りが、大波乱を演出した。

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