東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は11月15、16日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。[3/3ページ]
11月16日の2歳戦レビュー

◆ランズダウンロード
11月16日 未勝利 東京芝1800m 1着
評価:★★★★
騎手:プーシャン
厩舎:美浦・木村哲也
父:コントレイル
母:シユーマ
母の父:Medicean
《短評》
好発から行きたがるのをガッチリ抑えて4番手追走。手応え十分に直線へ向き、ラスト400m強でゴーサイン。あっさりと先頭に立った。
ただ、そこから右ムチに反応して左にヨレ、内ラチ沿いまで行ってしまった。最後は鈍って差を詰められたが、なんとか3/4馬身押し切った。
勝ち時計1:46.3は当コースの2歳戦史上9位の好タイム。1000m通過58.9秒のハイペースでこの馬以外は5着まで差し追い込みが台頭するなか、先行早め抜け出しでの勝利は着差以上に価値がある。幼い面は残すが、上のクラスでもやれそうだ。
◆エイシンティザー
11月16日 未勝利 京都芝1600m 1着
評価:★★★★
騎手:ルメール
厩舎:栗東・吉村圭司
父:モズアスコット
母:エイシンソルティー
母の父:Tapit
《短評》
外枠から先行。行きたがるのを鞍上がうまくいなしながら2番手に収め、内回り4角で先頭に立つと、直線半ばまでにセーフティーリードを作った。最後まで大きな失速はなく、1.3/4馬身差を保ってゴールした。
この秋は京都芝も速い時計が頻発しているとはいえ、1:33.9は上々の記録。たとえば昨年の2歳戦だとダノンフェアレディ新馬、ショウナンザナドゥ未勝利、アドマイヤズーム未勝利でしか当コースの1分33秒台は出ていない。
ラップタイムも12.6-11.0-11.3-11.7-11.8-11.8-11.8-11.9と、速めのペースで入り、その後ずっと11秒台後半を刻み続ける持続力を見せた。ワンペースながらしぶとい先行馬として面白い存在になっていきそうだ。
父モズアスコット、母父タピットならダートを試してもいいかもしれない。
◆アクセス
11月16日 新馬 京都芝2000m 1着
評価:★★★★
騎手:北村友一
厩舎:栗東・上村洋行
父:キセキ
母:トリニティプレイス
母の父:マンハッタンカフェ
《短評》
下河辺牧場生産、石川達絵氏所有のキセキ産駒。父譲り(?)の出遅れから他馬に寄られて、序盤は後方2番手からのレースとなった。向正面は手綱を抑えながらもポジションが自然と上がっていき、直線は外にヨレるのを修正しつつ3馬身突き抜けた。
勝ち時計2:01.9は同日黄菊賞に0.6秒劣るが、新馬戦としてはなかなかのタイム。ラストも11.6-11.4の加速ラップだった。まだまだ幼い面は感じるが、操縦性が悪化せず改善されてくるようなら昇級しても楽しみだ。
【了】
(文●鈴木ユウヤ)
<プロフィール>
鈴木ユウヤ(@ysuzuki_keiba)
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。「ワイド1点買い」の使い手。2024年の中央GⅠで回収率130%を達成。
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