今年も大物外国馬が参戦予定のジャパンカップ。草創期には及ばないが、一時期の外国馬の出走がゼロという時期を乗り越え、再び有力馬が参戦するようになったことは非常に喜ばしいことである。
2005年アルカセット以来となる外国馬の優勝を目にする日も、いよいよ近づいているのかもしれない。
そこで今回は、ジャパンカップに挑戦した凱旋門賞馬に注目。その中でも印象に残った5頭を、ピックアップして紹介する。[5/5ページ]
⑤ソレミア(2012年)

最後に紹介するのは、ソレミア。アイルランド生まれのフランス調教馬であるソレミアは、4歳時の2012年に凱旋門賞で勝利を挙げる。
この2012年の凱旋門賞は、「日本馬が最も勝利に近づいた凱旋門賞」と断言しても良いほど、日本の競馬ファンの脳裏に焼きついて離れないレースである。
この年の凱旋門賞には、日本からはオルフェーヴルと、帯同馬のような形で出走した同厩舎のアヴェンティーノが出走していた。
最後の直線では、ただ1頭抜群の手ごたえで馬群の大外を伸びてくるオルフェーヴル。日本の夢を乗せて残り300mで先頭に立つも、抜け出してからは内へ内へとササるオルフェーヴル。
スミヨン騎手が右ムチで必死に体勢を整えようとするが、その隙を見逃さなかったのが、伏兵ソレミアとその鞍上ペリエだった。
最後はゴール前で、一度交わしたはずのソレミアに再度逆転を許してのクビ差惜敗となった。後続は7馬身ちぎっており、日本の競馬ファンにとっては悪夢のようなレース。一方のソレミアにとっては、嬉しいG1初制覇であった。
その後、来日したソレミアは、2012年のジャパンカップへと出走を果たすこととなる。この年の日本の大将格は、ソレミアとの再戦となるオルフェーヴル。ソレミアは外国勢では最上位の人気も、7番人気の伏兵評価で発走を迎えた。
レースは、ビートブラックの大逃げ展開。ソレミアは好位から運び、オルフェーヴルは中団後方寄りからの競馬であったが、ビートブラックを捕まえにいくために外を回って早めに浮上。ソレミアの外に並びかけて4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、逃げるビートブラックを追いかけるオルフェーヴル。ソレミアは伸びがなく、大きく後退してしまう。
残り200mを切ったあたりでビートブラックを捕まえたオルフェーヴルだったが、その2頭の間を割るように伸びたのが、3冠牝馬のジェンティルドンナ。最後はオルフェーヴルとの一騎打ちとなり、接触があったことで審議とはなったが、ハナ差先着を果たした。
直線で後退したソレミアは13着に敗れ、このレースを最後に現役を引退。フランスでは歴史的な名馬ではないかもしれないが、その後も日本では毎年凱旋門賞の時期になると、名前を聞くことになる馬である。
日本馬はいまだに、凱旋門賞で勝利できていない。それと同じように、凱旋門賞の行われる馬場で勝利するような馬が、そこから2ヶ月足らずの間隔でジャパンカップを制覇するというのも、非常に難易度の高いことである。
今後、凱旋門賞とジャパンカップをともに制する競走馬は現れるのか、そしてそれは日本馬なのか外国馬なのか。近年では、凱旋門賞からジャパンカップというローテーションを選択する馬はほとんどいないのが事実だが、楽しみにしながら見ていきたい。
【了】
(文●中西友馬)
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