HOME » コラム » 5選 » 【ジャパンカップを制した牝馬5選】牡馬をも圧倒…革命を起こした美しき女王たち » ページ 2

日本競馬の最高峰・ジャパンカップ。2025年現在、44回の開催で牝馬が勝利したのはわずか10度。そのうち、日本の牝馬でこの大舞台を制したのは、たったの5頭しかいない。今回は歴史に名を残した彼女らが制したジャパンカップをひとつずつ取り上げ、じっりと紹介していきたい。[2/5ページ]

②2011年 ブエナビスタ

2011年ジャパンカップを制したブエナビスタ
2011年ジャパンカップを制したブエナビスタ

 2010年、4歳でジャパンカップに初出走となったブエナビスタは、前年のウオッカに続き2年連続で牝馬が先頭でゴール坂を駆け抜けた。

 偉業を達成したかに思えたが、その結末は2位入線のローズキングダムの進路を妨害したとして、2着に降着。苦い思いを味わうこととなった。

 そして1年後、ブエナビスタは再びジャパンカップに出走した。だが前年の降着以降は2着が続き勝ち切れなていなかったのに加え、前走の天皇賞(秋)は馬券圏内を外す4着。

 この成績も影響してか、ブエナビスタはデビュー以降初めて1番人気の支持を他馬に明け渡して3.4倍の2番人気となった。

 1番人気は当年の凱旋門賞馬デインドリームで3.3倍。3番人気のペルーサが7.5倍で日本馬ではダントツの支持を受けていたとはいえ、前年の1.9倍というオッズに比べれば評価は下降していた。

 それでも、日本で外国馬に負けるわけにはいかない。ゲートが開くと岩田康誠騎手はブエナビスタをいつも通り中団に誘導し、末脚に懸ける競馬に徹した。

 1000m通過は61秒8とスローペースで進む流れは、瞬発力に勝るブエナビスタには有利な流れ。

 そして直線、真横には昨年同様ローズキングダムがいたが、今度は一歩待ってからの追い出し。自身の外に完全な進路ができたのを確認してから、岩田騎手は相棒をそこへ導く。

 その瞬間、ブエナビスタの末脚は弾け、前で粘るトーセンジョーダンに並びかけた。2頭の激しい競り合いはゴール前まで続いたが、最後はクビ差だけブエナビスタが前に出て、前年の雪辱を果たした。

 「悔しい思いが全部晴らせた。やっと勝たせることができて良かったです」と語る岩田騎手。

 コンビを組んで以降、歯がゆい結果が続いていた鞍上にとってもこれ以上ない結果であった。

 これがブエナビスタにとって生涯最後の勝利となった。しかし、レース史上初めて2年連続でゴール坂を先頭で駆け抜けた彼女が、それぞれの年で見せた景色は、今後も語り継がれていくだろう。

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