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G1の舞台で、兄と弟が真っ向勝負。競馬界を代表する名騎手・武豊と、現調教師であり元騎手の弟・幸四郎。2人がともに現役だった時代には、バチバチの兄弟対決が実現した。特にG1の舞台でそれぞれが人気馬に騎乗する際は、ファンの注目も高まった。そこで今回は、そんな兄弟対決の中から、記憶に残る名勝負5戦を振り返る。[5/5ページ]

⑤2014年 天皇賞(春)

2014年天皇賞・春/キズナ(橙帽・武豊)ウインバリアシオン(緑帽・武幸四郎)
2014年天皇賞・春/キズナ(橙帽・武豊)ウインバリアシオン(緑帽・武幸四郎)

■騎乗馬

豊:キズナ
幸四郎:ウインバリアシオン

 前年、豊騎手が復活のダービー制覇を遂げた際の相棒、キズナ。凱旋門賞にも挑戦し、古馬初戦となった大阪杯を快勝して臨む天皇賞(春)では、先輩二冠馬のゴールドシップを抑えて1.7倍の1番人気に推されていた。

 戦前はこの2頭の一騎討ちと見られていたが、ここに割って入ってくると思われていたのが6歳馬のウインバリアシオンであった。

 鞍上は短期免許で来日していたアンドレアシュ・シュタルケ騎手が務める予定であったが、当日シュタルケ騎手がレース中の落馬で負傷。彼に代わる代役として白羽の矢が立ったのが幸四郎騎手だった。

 レースは“いつも通り”ゴールドシップが出負けして幕を開けたが、キズナとウインバリアシオンも後方から。

 やや落ち着いたペースにも力むことなく道中を進め、両者とも2周目の下り坂辺りで加速を開始。

 先に動いたウインバリアシオンを追う形でキズナが進出し、さらに大外にゴールドシップが捲るように上がってくる。直線は人気3頭での叩き合いになるかと思われた。

 だが、キズナの脚にダービーのような鋭さがなく、ゴールドシップも先頭集団へ迫れるほどの脚がない。争いから一歩抜け出したウインバリアシオンが抜け出すかと思われた。

 だが、その内から前年覇者のフェノーメノが抜け出す。それでもウインバリアシオンは懸命に食い下がったが、僅かにクビ差だけ届かず2着。

 ウインバリアシオンにとって、このレースは生涯で最もG1タイトルに近づいた一戦だった。しかし、あまりにも惜しく、大きなクビ差だった。

 一方、キズナは最後、ホッコーブレーヴに差し切られて4着。後日、レース中に骨折していたことが判明した。

 幸四郎騎手と豊騎手がG1で繰り広げた戦いで、互いに掲示板以上の入線を果たしたのはこれが最後となったが、2018年、幸四郎騎手は調教師として再発進。

 豊騎手は2025年現在でも、依然世界有数のトップジョッキーとして現役を続けている。いつか、今度は競い合うのではなく、兄弟で共にG1を制する姿を見られるだろうか。

【了】

(文●小早川涼風)

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