G1の舞台で、兄と弟が真っ向勝負。競馬界を代表する名騎手・武豊と、現調教師であり元騎手の弟・幸四郎。2人がともに現役だった時代には、バチバチの兄弟対決が実現した。特にG1の舞台でそれぞれが人気馬に騎乗する際は、ファンの注目も高まった。そこで今回は、そんな兄弟対決の中から、記憶に残る名勝負5戦を振り返る。[3/5ページ]
③2007年 ジャパンカップダート

■騎乗馬
豊:ヴァーミリアン
幸四郎:メイショウトウコン
前年の菊花賞で衝撃的なG1制覇を遂げた幸四郎騎手。2007年は9月に落馬負傷のアクシデントはあったものの僅か1か月で復帰し、秋華賞で7番人気のレインダンスに騎乗して2着に入線するなど存在感を発揮していた。
そして兄の豊騎手は夏の小倉で岡部幸雄元騎手が保持していたJRAの通算勝利数を更新。メイショウサムソンを筆頭にお手馬も多く、これまで同様競馬界の中心にいた。
そんな2人の主力級と言っていいお手馬がジャパンカップダートで激突。幸四郎騎手はダートグレードを3勝して徐々に頭角を現したメイショウトウコンに騎乗し、豊騎手はドバイワールドカップにも遠征して4着となり、G1級競走を2勝したヴァーミリアンの手綱を取る。
人気はヴァーミリアンがやや抜け出した1番人気だったとはいえ、メイショウトウコンもそれほど差のない4番人気。展開次第ではどちらが勝ってもおかしくないというのが戦前の見方だった。
レースは武蔵野ステークスを逃げ切ったエイシンロンバードが1000m通過60秒ジャストというペースで引っ張り、それを追走したキャンディデートとブルーコンコルドによって締まった流れに。後方から進めるヴァーミリアンとメイショウトウコンには有利な流れとなった。
そして直線、メイショウトウコンはコーナーで外に出した際に振られやや遅れたが、ロスなく回ったヴァーミリアンはスピードに乗ったまま先頭のフィールドルージュを猛追。
そのまま並ぶ間もなく交わし去るとあっという間に差を広げ、G1級3勝目となるゴール坂へレコードタイムで飛び込んで行った。
次走、東京大賞典でも激突した2人と2頭。結果はヴァーミリアンが勝利し、この年の秋に行われたダートG1級競走を総なめというものに終わった。



