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【武豊VS幸四郎 5選】GⅠの舞台で激突!バチバチの兄弟騎手対決を制したのはどっち…?

text by 小早川涼風

G1の舞台で、兄と弟が真っ向勝負。競馬界を代表する名騎手・武豊と、現調教師であり元騎手の弟・幸四郎。2人がともに現役だった時代には、バチバチの兄弟対決が実現した。特にG1の舞台でそれぞれが人気馬に騎乗する際は、ファンの注目も高まった。そこで今回は、そんな兄弟対決の中から、記憶に残る名勝負5戦を振り返る。[1/5ページ]

①2001年 エリザベス女王杯

2001年エリザベス女王杯/1着トゥザヴィクトリー(橙帽・武豊)、3着ティコティコタック(青帽・武幸四郎)
2001年エリザベス女王杯/1着トゥザヴィクトリー(橙帽・武豊)、3着ティコティコタック(青帽・武幸四郎)

■騎乗馬

豊:トゥザヴィクトリー
幸四郎:ティコティコタック

 2001年当時、武幸四郎騎手はデビュー5年目。前年の2000年秋華賞ではティコティコタックに騎乗し、G1初制覇を果たすなど、めきめきと頭角を現していた若手騎手であった。

 一方、兄の武豊騎手は騎乗拠点をフランスに移し、日本へは騎乗馬がいる際にスポット参戦するという、ワールドワイドな活躍を見せていた。

 そんな2人が2001年のエリザベス女王杯で激突。豊騎手は同年のドバイワールドカップで日本馬初となる2着に入線したトゥザヴィクトリー、幸四郎騎手はティコティコタックに跨った。

 2頭とも一桁オッズに推されており、G1の舞台でそろって10倍以下の馬に騎乗するというのはこれが初だった。

 ゲートが開くと、これまで逃げて結果を残していたトゥザヴィクトリーの手綱を豊騎手はグッと抑え、後方からの競馬を選択。

 予想外の展開にスタンドからは歓声が上がるが、トゥザヴィクトリーと競り合うだろうと想定されていたヤマカツスズラン、タイキポーラが後続との差をかなり広げ、1000mは58秒5という超ハイペースに。

 それを見越していたかのように控えた豊騎手は、勝負所でティコティコタックと併せ馬のような形で上がっていく。

 そして直線、外に出したいライバルへ決して進路を譲らず、内に行かざるを得ない状況作る一方で、自身はスムーズに空いた道を突き抜ける。

 そのコース取りで得た僅かなアドバンテージは、最後に追い込んできたティコティコタックとローズバドとの叩き合いで生き、1着でゴールイン。

 2頭との差は僅かにハナ差だったが、それはまるで計算し尽くされたのかのような着差であった。

 スタートしてからのレースメイク、道中の駆け引きに、最後は絶対に勝ち切る勝負強さ。

 なぜ豊騎手が世界中で「名手」と呼ばれるのか、その理由が全て詰まっているといっても良いエリザベス女王杯だった。

 同時に「まだまだ弟には負けられない」とも、その背中は語っているように映った。

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