【G1で樹立された日本レコード5選】その記録が破られる日は来るのか…世界がざわついた超絶タイム
競馬では「強い馬」や「速い馬」と表現されることがあるが、その二つは似て非なるもの。そこで今回は、「速い馬」に注目したい。G1の大舞台で日本レコードを叩き出した5頭をピックアップ。その歴史的な瞬間を振り返りながら、彼らが残した異次元のスピードを振り返っていく。[1/5ページ]
①2001年ジャパンカップダート(勝ち馬クロフネ)

最初に取り上げるのは、2001年のジャパンカップダート。戦前から注目を集めていたのは、3歳馬のクロフネ。
外国産馬の出走枠の関係で、天皇賞(秋)への出走が叶わなかったことによりスライドした、前走の武蔵野Sでダートに初挑戦。
後続を9馬身突き離す圧巻の競馬を見せ、なんと良馬場で1分33秒3という驚異的な日本レコードを叩き出していた。
このタイムは、自身が芝のNHKマイルカップを制した勝ち時計とコンマ3秒しか違わず、まさに芝並みの時計。
 まだダートを1戦しか走ってないにも関わらず史上最強のダート馬との呼び声も高く、砂の新星登場に盛り上がっていた。
  
  
レースは、外国馬のディグフォーイットがハナを切り、同じく外国馬のジェネラルロッシが追走する形。
外国馬2頭が前を引っ張る中、スタートで若干躓き気味だったクロフネは中団後方寄りからのレース。いつでも動ける外めにポジションを取ると、向正面から位置を上げていく。
鞍上の武豊騎手はまったく仕掛ける素振りがなかったが、スピードの違いで外国馬2頭の後ろまで上がっていくと、3〜4角の中間あたりで持ったまま先頭へと躍り出る。
直線に入ると、2番手に浮上したノボトゥルーが懸命にクロフネとの差を詰めようとするが、逆に突き離されてしまう。
その後ろからウイングアローとミラクルオペラが追い込んでくるも、これらは2番手争いまで。その遥か前方を走るクロフネは、ラストは流して圧勝。7馬身差の2着にはウイングアローが入り、半馬身差の3着にミラクルオペラが続いた。
 そして表示された時計は、良馬場のダート2100mで2分05秒9。ウイングアローが前年のJCダートでマークした2分07秒2を1秒3も更新する、2戦連続の日本レコードであった。
  
  
クロフネはその後、翌年のフェブラリーSをステップにドバイWCへの挑戦、秋にはBCクラシックも視野に入れることを明言していたが、年末に屈腱炎を発症。翌年のプランは一度白紙に戻ったあと、関係者による協議の結果、引退が発表された。
「怪我さえなければどんな競走馬となっていたのか」と言われる馬は数多いが、クロフネはその最たる馬と言っても過言ではないかもしれない。


