東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は10月25、26日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。[2/3ページ]
  
  
10月26日の2歳戦レビュー

◆リゾートアイランド
10月26日 未勝利 東京芝1600m 1着
評価:★★★★
騎手:津村明秀
厩舎:美浦・上原佑紀
父:イスラボニータ
母:エディスバーグ
母の父:Frankel
《短評》
 道中は大逃げの馬を放置して離れた2番手。慌てることなく少しずつ差を詰めていき、残り400m付近で早くも先頭に。唯一食い下がってきた2着馬リラを振り切って2馬身半差、3着はさらに7馬身置き去りにした。
小雨が降る稍重馬場で1:34.1の勝ち時計は優秀。東京芝1600mの2歳戦で1:34.1以下の決着となると1986年以降で41例目だが、良馬場以外だとサウジアラビアRC(ダノンプレミアム、アルテヴェローチェ)で2回あるだけ。昇級しても通用するだろう。
◆ダノンバーボン
10月26日 新馬 京都ダ1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:松山弘平
厩舎:栗東・池添学
父:Maxfield
母:Wild Ridge
母の父:Tapit
《短評》
 好スタートから押して逃げの手を選択。道中は後続を引き付けていたが、4角出口で徐々にリードを取り始め、直線いざ仕掛けるとあっという間に差が開いた。最終的に2着とは10馬身差ものがついた。
同日OP・カノープスSで1:48.6が出た高速馬場だったのは確かだが、それでも1:51.9は立派。当コースの2歳新馬では歴代3位の時計(余談だが、1位はナルカミで1:51.2。それも良馬場なので異次元の記録。
もしこの連載が昨年あったら★7だったろう)。ラスト11.7-11.8と大きくは減速していない点も含め、まだまだ余力も感じる内容だった。世代の重賞レベルにはありそうだ。
◆テルヒコウ
10月26日 新馬 京都芝1800m 1着
評価:★★★
騎手:坂井瑠星
厩舎:栗東・矢作芳人
父:コントレイル
母:ミッシングリンク
母の父:ヴィクトワールピサ
《短評》
 アンライバルドやエピファネイア、ワールドプレミア、シャフリヤールなど数々の活躍馬を輩出してきた菊花賞当日の芝1800m新馬。
今年はテルヒコウが逃げて1000m通過64.4秒の超スローペース。4角出口で仕掛けて一気に後続を振り切ると、残り200mではもうセーフティーリード。最後はエムズビギンに多少詰められたが、2馬身半差と余裕をもって押し切った。
展開から言えば新馬らしいスローの逃げ切りにすぎず、勝ち時計1:50.5は同日萩Sより3.4秒遅い。現状、そこまでのインパクトがあったわけではない。
ただ、鞍上の仕掛けに応えて瞬時に加速できた点は好印象。昇級して締まった流れにも対応できるようなら、重賞戦線に乗ってくるかもしれない。


