HOME » コラム » 競馬の基礎知識 » 【G1単勝高配当ランキングTOP10】大舞台で起こった大波乱…競馬に“絶対”は存在しない » ページ 9

競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[9/10ページ]

第2位 2014年フェブラリーステークス

コパノリッキー(単勝272.1倍)

2014年フェブラリーSを制した時のコパノリッキー(写真右)
2014年フェブラリーSを制した時のコパノリッキー(写真右)

 大人気スマホゲーム『ウマ娘プリティーダービー』にも登場し、2025年現在でも多くのファンから根強い人気を持つコパノリッキー。そんな彼のG1制覇のロードは波乱で幕を開けている。

 2014年のダート界は、これまでこの路線を引っ張ってきた名馬たちの引退によりかなりの混戦具合を呈していた。

 このフェブラリーステークスでも、1番人気は前年のジャパンカップダートを制したベルシャザールだったものの、それを追う2番人気のホッコータルマエとも大きな差がない。

 そしてオッズこそ離れていたが、ワンダーアキュート、ニホンピロアワーズといった、ここまでG1級を勝ってきた馬たちとも大きな実力差があるとは言いがたい、難解な1戦であった。

 しかし、終わって見ればこのレースを制覇した伏兵がこの後のダート界を統一していくのだから、競馬は面白い。

 好スタートから芝のスプリンター・エーシントップがハナを主張し、コパノリッキーがその2番手につける展開。

 ホッコータルマエ、ベルシャザールといった有力馬も中団前目につけ、各馬が絶好位で直線に向いてくる展開となった。

 直線、逃げたエーシントップをコパノリッキーが交わし、それをホッコータルマエとブライトラインが追いかける。

 しかしその差が1馬身からなかなか詰まらない。追い込んでくるベルシャザールも前に迫れるだけの脚はなく、ブライトラインは逆に後退。そのまま、コパノリッキーは1着でゴール坂を駆け抜けた。

 800m通過は48秒ちょうどと、極端に遅いペースでもない。好位からライバルたちを力でねじ伏せたその走りは、紛れもなく実力馬そのものの走りだった。

 そしてコパノリッキーは続くかしわ記念も勝利し、フロックという評価を一蹴。以後、引退となる2017年までダート界を牽引し、2025年10月現在、日本競馬では史上最多となるG1級競走11勝の記録を打ち立てた。

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