HOME » コラム » 競馬の基礎知識 » 【G1単勝高配当ランキングTOP10】大舞台で起こった大波乱…競馬に“絶対”は存在しない » ページ 8

競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[8/10ページ]

第3位 2000年スプリンターズステークス

ダイタクヤマト(単勝257.5倍)

2000年スプリンターズSを制した時のダイタクヤマト
2000年スプリンターズSを制した時のダイタクヤマト

 「穴のエダテル」という言葉が定着し始めたのはいつ頃からか分からないが、江田照男騎手はとにかく穴馬での勝利が印象的なジョッキーだ。

 デビュー以来、単勝オッズが200倍を超える馬での勝利が4回あるという事実だけでも穴男というのが伝わるだろう。しかも彼は、その勝利のうち1回をG1の大舞台でやってのけている。

 2000年のスプリンターズステークスは、前年まで12月開催だったこのレースを秋のG1開幕戦に変えて行われた最初の年である。

 そんな移行元年のこのレースで抜けた1番人気に推されたのは、英仏でG1を2勝し、ワールドワイドな活躍を遂げていたアグネスワールド。

 アスコットのジュライカップを制してからの続戦で、凱旋勝利を期待する人は少なくなかった。

 そしてレースも、当然アグネスワールドの動きに注目が集まる。先行して番手につけた大本命を囲むように各馬が陣形を整えていく中、大外から好スタートを決めてハナを叩くダイタクヤマトの動向を注視していた人は果たしてどれくらいいただろうか。

 直線に向いたところで、ここまで競り合ってきたユーワファルコンを退けてダイタクヤマトが抜け出す。

 坂の下でアグネスワールドも追い出されるが、自慢のスピードの乗りがいまひとつ。ブラックホーク、ブロードアピールといった末脚自慢の馬たちも、逃げるダイタクヤマトへ届く脚色はない。

 最後は1と1/4馬身の差をつけて、ダイタクヤマトが先頭でゴール坂を駆け抜けた。

 ダイタクヤマトは次走のマイルチャンピオンシップも4着と健闘し、翌年のスプリンターズステークスも3着。

 決して「一発屋」などではないことを証明している。そして鞍上の江田照男騎手は、1998年の日経賞・テンジンショウグン以来となる単勝万馬券の馬で重賞勝利を挙げた。

 そして12年後、日経賞で単勝オッズ167.1倍のネコパンチに騎乗して勝利。みたび中山競馬場の重賞で大波乱を引き起こし、穴男の真骨頂を見せてくれている。

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