競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[7/10ページ]
第4位 2024年ヴィクトリアマイル
テンハッピーローズ(単勝208.6倍)

「牝馬限定戦は難しい」と、馬券をやる競馬ファンはよく口にする。エリザベス女王杯やヴィクトリアマイルが「荒れるG1」といわれるのも、こういう理由があるのだろう。
とはいえ、創設から比較的年度が浅いヴィクトリアマイルは3連系の馬券などが荒れても単勝高配当は出てこなかったが、2024年、ついに単勝で大波乱が飛び出した。
前年の三冠牝馬リバティアイランドこそ不在だったものの、秋華賞で彼女に怒涛の末脚で迫ったマスクトディーヴァが1番人気で出走。
そして前年のマイルチャンピオンシップを勝ち、ドバイターフでも世界の強豪を相手にハナ差の2着まで迫ったナミュールがこれに続く。
3番人気のウンブライルは2頭から大きく離れたオッズ構成だったことからも、2強体制のG1だったことが分かる。
しかし、ゲートが開くとナミュールは出遅れ最後方からのレースに。とはいえ、先行勢がかなり速い流れで飛ばし、800m通過が45秒4というハイペース。
マスクトディーヴァもナミュールも後方からレースをする馬だけに、展開の利はありそうと思われた道中だった。
だが、直線に向いて最初に弾けてきたのは、単勝14番人気のテンハッピーローズ。内でマスクトディーヴァが進路を無くす不利に遭い、ナミュールも後方で伸びあぐねる中、ただ1頭大外から先行集団を全て撫で切って、人馬共にG1初制覇を決めて見せた。
単勝200倍超の馬がG1を制するのは、令和になってからはもちろん初。この日のWIN5の的中票数はわずか1票となり、払い戻し金額は4億4605万7430円と、2025年10月現在で歴代8位となる配当も記録した。
テンハッピーローズはこれが生涯最後の勝利となったが、秋にはブリーダーズカップマイルに遠征して4着。最後の直線では一瞬抜け出すシーンも作っており、世界の強豪相手に強さを見せつけた。


