競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[4/10ページ]
第7位 2002年皐月賞
ノーリーズン(単勝115.9倍)

波乱の多かった2002年の牡馬クラシック戦線。その中でも、多くのファンにとっては、ノーリーズンに度肝を抜かれっぱなしだっただろう。
彼が最初に衝撃を与えたのは、一冠目の皐月賞であった。
この年の皐月賞は2歳王者のアドマイヤドンがトライアルの若葉ステークスで敗北を喫したこともあって、やや混戦模様の図を呈していた。
その中で抜けた1番人気になっていたのがタニノギムレット。未勝利戦から4連勝、重賞は3連勝と破竹の勢いでクラシック候補に名乗りを挙げた彼の戴冠を期待するものは多かった。
一方のノーリーズンは、新馬戦から2連勝でオープン馬にはなったものの、昇級初戦の若葉ステークスで7着に敗れた。
その実績が嫌われて18頭立て15番人気。単勝オッズは115倍で伏兵の1頭という評価だった。
ゲートが開くとメジロマイヤーが逃げ、アドマイヤドン、ローマンエンパイア、タニノギムレットら人気馬は後ろから。
ノーリーズンは中団内から進め、勝負所でブレット・ドイル騎手が馬群を捌きながら好位まで一気に押し上げる。
4コーナーでスペースが空いたノーリーズンはそのまま外からぐーんと進出すると、直線で弾けて先行集団を一気に捉えた。
坂を上るところで後方から進めてきたタニノギムレットがようやく突っ込んできたが、それも3着まで。そのままノーリーズンが先頭でゴールを駆け抜けた。
2025年現在、彼が記録した単勝配当1万1590円というのは皐月賞史上1位の高配当となっている。
そして秋には菊花賞で1番人気に支持されながらスタート直後に落馬。110億円もの馬券が一瞬ではずれ馬券に変わってしまい、春とは違う意味で波乱を演出した。


