HOME » コラム » 競馬の基礎知識 » 【G1単勝高配当ランキングTOP10】大舞台で起こった大波乱…競馬に“絶対”は存在しない » ページ 10

競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[10/10ページ]

第1位 1989年エリザベス女王杯

サンドピアリス(単勝430.6倍)

1989年エリザベス女王杯をサンドピアリスで制した岸滋彦騎手
1989年エリザベス女王杯をサンドピアリスで制した岸滋彦騎手

 エリザベス女王杯のクィーンスプマンテに始まったこのG1での単勝高配当ランキングだが、最後を飾るもまたエリザベス女王杯である。

 G1の大波乱を語る上で「元祖」と呼ぶにふさわしい存在、それがサンドピアリスだ。

 1989年の牝馬クラシック戦線は、シャダイカグラが桜花賞を制覇。当時まだ3年目だった武豊騎手が「無理せずゆっくり出した」と語ったように、不利なはずの大外枠を覆した勝利を挙げた。

 続くオークスは2着に敗れたが、それでも勝ったライトカラーからはクビ差。2400mの距離不安もなく、最後の一冠は譲れないといった陣容であった。

 一方、このエリザベス女王杯で20頭立て20番人気の430.6倍の最低人気に甘んじたのがサンドピアリス。ここまで8戦2勝という成績ではあったが、勝ち鞍は全てダート戦でのもの。

 芝のレースではいいところがなく、前走も900万下(現:2勝クラス)のダート戦で6着という成績では、この人気となるのも仕方ないかもしれない。

 だが、レースは逃げたレディゴシップを追いかける先行各馬の出入りが激しく、見た目以上にスタミナを消費する消耗戦に。

 そして大本命のシャダイカグラは4コーナーで故障を発症し後退。内の有力馬はそのあおりもあってごちゃついた展開になり、仕掛けも遅れた。

 しかしそんな展開を全く意に介さなかったのがサンドピアリス。大外に持ち出した岸滋彦騎手の合図に応えて脚を伸ばすと、抜け出しにかかったメジロモントレーやシンエイロータスを一瞬のうちに置き去りにした。

 そして追いすがるヤマフリアルとシンビクトリーも抑え、ゴール坂へ1番に飛び込む。その瞬間、京都競馬場のスタンドからは困惑にも似た歓声が上がっていたという。

 このレースの上位入線馬は上から20番人気、10番人気、14番人気と、まさに大波乱。

 当時の発売券種は単勝と複勝、枠連のみだったため万馬券はサンドピアリスの単勝だけではあったが、もしこの時代に3連単が発売されていたら、その配当はいったいいくらになっていたのだろうか。

 2015年のヴィクトリアマイルで記録された2070万5810円の払戻金額すら超えていたかもしれない。

 この記録を作り上げたサンドピアリスは、翌年の京都大賞典でもスーパークリークへコンマ1秒差に迫る3着。牡馬の超一流相手にも怯まず立ち向かった。

【了】

(文●小早川涼風)

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