②ゲルチュタール
これからの成長を期待するとともに、秋の結果次第では古馬相手にも面白い走りをしてくれるのではと期待を抱いている馬を取り上げたい。それがゲルチュタールである。
8月の日本海ステークスを勝利したばかりで、この原稿を書いている時点では青葉賞3着がグレードレースでは最高の成績。中山の重賞も京成杯で10着と敗れており、賞金も微妙な現段階では有馬記念の出走ラインに立てるかも微妙なところではある。
しかし、日本海ステークスでの走りを見る限り、トリッキーな有馬記念の舞台にも対応できそうな内容だった。
レースラップは[60.6−58.9]と後傾のスローペースではあったが、勝負どころでは内外からプレッシャーを受け、早めに先頭へ立たざるを得ない展開に。そのまま直線に入ると外から競り合いに持ち込まれ、一瞬抜かされるかに見えた。
だがそこからもうひと伸びし、最後まで先頭を譲ることなくゴールイン。過去2年でこのレースを勝ったドゥレッツァやヘデントールのような派手さはないが、厳しい競馬を強いられながら勝ち切ったのは大きな収穫と言っていい。持久力勝負になりがちな長距離レースをこなせそうな資質は持っていそうだ。
そしてゲルチュタールは、高速、道悪のどちらにも対応可能な実力を持っている。昨年暮れの葉牡丹賞では、中山2歳芝2000mのレコードを叩き出したヴィンセンシオにタイム差無しの2着。
一方で馬場が荒れた今年6月の三田特別でも上り最速で勝っており、どんな馬場状態でも不問と見て良いのではないだろうか。
ただ、彼が有馬記念を制するには、まずは菊花賞を勝利することが絶対条件となりそうだ。
過去、秋に上がり馬として頭角を現し、そのまま有馬記念を制した3歳馬はメジロデュレンとマヤノトップガン。2頭はどちらも菊花賞を勝っての参戦だった。
古馬一線級を相手にするのならまずは世代G1を制してからと、偉大な先輩方は成績で語っている。果たしてゲルチュタールは彼らに続くことはできるだろうか。